更新日: 2023.02.15 国民年金

「国民年金の滞納」は家族にバレる? 財産が「差し押さえられる」可能性もあるって本当? 対処法について解説

執筆者 : 新川優香

「国民年金の滞納」は家族にバレる? 財産が「差し押さえられる」可能性もあるって本当? 対処法について解説
国民年金法によると、国民年金保険料は滞納者本人の配偶者と世帯主に連帯納付義務があるとされています。そのため、納付催促があるにもかかわらず無視を続けていると、家族にも滞納がばれてしまう可能性が高いです。今回は家族にばれる理由と支払えない場合の対処法を紹介します。
新川優香

執筆者:新川優香(あらかわ ゆうか)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士

国民年金保険料の滞納は家族にばれる可能性がある

国民年金保険料を納めるよう催促されているのにもかかわらず滞納を続けていると、家族にばれる可能性があります。なぜなら国民年金法第88条によると、世帯主や配偶者に連帯納付義務があると記載されているためです。
 

(1) 被保険者の保険料納付義務
(2) 世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料納付義務の連帯義務を負う
(3) 配偶者の一方は、他方の配偶者の保険料納付義務の連帯義務を負う

 
つまり、滞納を続けていると滞納者本人だけでなく、親や配偶者にも滞納の事実が知られると同時にペナルティーも課されます。では、ペナルティーが課されるまでの流れを見ていきましょう。
 

財産が差し押さえられる流れ

連帯納付義務のある世帯主や配偶者は、本来支払うべき被保険者が滞納を続けると財産を差し押さえられる可能性があります。流れを簡単に説明すると次のとおりです。
 
催告状→督促状→差押予告通知
 

・催告状

国民年金保険料を納めていない最初の段階では、電話や訪問を通じた納付督励が行われます。それでも支払わない場合は「特別催告状」が青、黄色、赤の封筒の順で届き、これも無視すると「最終催告状」が届きます。最終催告状には納付期日が記載されており、納付しない場合は「督促状」が届きます。
 

・督促状

督促状で指定された期日までに国民年金保険料を納付しない場合、未納保険料に延滞金が加算され、いよいよ「差押予告通知」が届きます。
 

・差押予告通知

差し押さえの対象者は先述したとおり、滞納者本人だけでなく世帯主や配偶者の銀行口座も対象です。なお、未納期間7ヶ月以上の控除後所得額300万円以上の方が差し押さえの対象となります。
 

国民年金保険料の納付が難しい場合の対処法

滞納を続けると滞納者のほか、世帯主や配偶者の財産まで差し押さえられる可能性があります。そうなる前にきちんと納付することが望ましいですが、催告状の記載金額を支払えない場合は免除制度や納付猶予制度の活用、分割払いの相談をしましょう。
 

免除・納付猶予制度の活用

国民年金保険料の納付が経済的に難しい場合は「免除制度」と「納付猶予制度」を活用することも一つの手段です。免除制度とは、本人や世帯主、配偶者の「前年所得が一定額以下の場合」や「失業した場合」などに、保険料の支払いが免除されるものです。免除される額は全額、4分の3、半額、4分の1の4種類です。納付猶予制度とは、本人や配偶者の「前年所得が一定額以下の場合」に保険料の支払いが猶予される制度になります。
 

分割払いの相談

条件を満たしておらず、免除や納付猶予の制度を受けられない場合は、滞納分を分割払いにできないか相談しましょう。特別催告状が届く段階までは、柔軟に応じてくれる可能性があります。相談先はお近くの年金事務所や、「ねんきんダイヤル」などです。なお、分割払いが認められるかは、給与明細などを確認してもらう必要があるため、電話での判断はできません。必要書類の確認に電話を利用すると良いでしょう。
 

年金滞納は家族にばれる可能性がある!

年金の滞納を続けていると、家族に知られるだけでなく、財産も差し押さえられる可能性があります。経済的にどうしても支払いができない場合は、免除制度や納付猶予制度の活用、分割払いの相談をしましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料

厚生労働省 強制加入被保険者(法7)

日本年金機構 「国民年金保険料の強制徴収の取組強化」について

日本年金機構 令和4年度計画

日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度

 
執筆者:新川優香
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士

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