更新日: 2019.01.10 その他年金

人生100年時代といわれている現代において「トンチン年金」ってなに?はいった方が良いのか!?

人生100年時代といわれている現代において「トンチン年金」ってなに?はいった方が良いのか!?
長生きすればするほどお得という、うたい文句の個人年金保険の売れ行きが好調のようです。この種の保険は原型を考案した人の名前にちなんで「トンチン年金」と呼ばれています。
 
長生きするほど得という個人年金保険は、以前からもあります。「トンチン年金」は、従来の個人年金の改良版ともいえます。
 
加入を検討している人は、セールス文句に惑わされずに、商品のメリット、デメリットをよく吟味しましょう。
 
新美昌也

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

個人年金のしくみとポイント

「トンチン年金」は個人年金保険の一種ですので、まず個人年金保険について確認しましょう。
 
個人年金保険には、(定額)個人年金保険と変額個人年金保険があります。
 
(定額)個人年金保険は、契約時に定めた年齢から決まった年金額を受け取ることができる商品です。
 
変額個人年金保険は、株式や債券を中心に資産を運用し、その運用の実績によって年金や解約返戻金などが増減する商品です。保険会社の運用がうまくいかないと契約者が損をします。
 
つまり、変額個人年金保険は契約者が投資リスクを負い、(定額)個人年金保険は、保険会社がリスクを負います。
 
年金原資の受け取りには、有期年金、終身年金、確定年金があります。
 
有期年金では、契約時に定めた期間、被保険者が生存している間、年金が支払われます。
 
終身年金では被保険者が生存している間、一生涯年金を受け取ることができます。
 
有期年金、終身年金は、被保険者が死亡すると、そこで終了します。
 
確定年金では、年金受取開始後、被保険者の生死に関わらず、契約時に定めた一定期間(10年・15年など)の年金が受け取れます。したがって、年金受取期間中に被保険者が死亡した場合、残期間に対応する年金は遺族が受け取れます。
 
終身年金に確定年金の要素を加えたものが、保証期間付終身年金です。つまり、保証期間中は被保険者の生死にかかわらず年金を受け取ることができ、保証期間経過後は被保険者が生存している限り年金を受け取ることができます。
 
年金受取開始前に死亡した場合には、(定額)個人年金保険では、死亡時点での払込保険料相当額が死亡給付金として受け取ることができます。
 
変額個人年金では、死亡日の積立金を受け取ることができます。なお、多くの商品は払込保険料の総額が最低保証されています。
 
個人年金保険料税制適格特約を付加した個人年金保険の保険料は個人年金保険料控除の対象になります。この特約を付加には以下の条件を満たすことが必要です。
 
・年金受取人が契約者(保険料負担者)またはその配偶者であること
・年金受取人は被保険者と同一であること
・保険料払込期間が10年以上であること
・年金の種類が確定年金、有期年金の場合は、年金開始日における被保険者の年齢が60歳以上で、かつ年金受取期間が10年以上であること
 
などすべての条件を満たす必要があります。
 

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「トンチン年金」の仕組みとポイント

「トンチン年金」は、この種の年金の原型を考案した17世紀のイタリア人銀行家であるロレンツォ・トンティの名にちなんでいます。
 
「トンチン年金」の特長は、死亡時の給付額を抑えることで、その分生きている人の年金額を大きくする仕組みにあります。長生きすればするほどお得になります。
 
例えば、ある保険会社の商品では、年金開始前に被保険者が死亡すると、解約返戻金相当額しか支払われないため、総支払保険料を大きく下回る可能性があります。解約返戻金は低解約返戻金タイプです。
 
また、年金開始日から被保険者の死亡までの期間によっては、年金および死亡一時金の支払額の合計額が払込保険料の総額を下回る可能性がある、とされています。
 

「トンチン年金」はお得?

ある保険会社の商品の場合、契約年齢50歳、年金受取開始年齢70歳、5年保証付終身年金、年金額60万円とすると、70歳まで20年間の払込保険料の総額は、男性約1087万円、女性約1465万円です。
 
これを基に損益分岐点を計算すると、男性88歳、女性94歳になりますので、この年齢を超えれば、払込保険料の総額より年金額の受け取りが多くなります。
 
厚生労働省の資料によると、日本人の平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.14歳です。平均寿命より約8歳以上長生きしなければ元を取れませんので、元を取るにはハードルが高そうです。
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。

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