更新日: 2023.02.16 厚生年金

雇用保険の失業手当を受けると、年金が支給停止されるってホント?

雇用保険の失業手当を受けると、年金が支給停止されるってホント?
60歳台前半の方が、勤めていた会社を離職して雇用保険の基本手当(以下、「失業手当」)を受けると、それまで支給されていた特別支給の老齢厚生年金が支給停止になる場合があります。本記事では、雇用保険の失業手当と老齢厚生年金の調整制度について解説します。
辻章嗣

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

失業手当とは


 
雇用保険の被保険者期間など一定の要件を満たす方が、勤めていた会社を離職し、ハローワークで求職の申し込みを行ってから待期期間である7日を経過した日以降、離職の日の翌日から1年間、離職理由と勤務年数に応じて定められた給付日数を上限として失業手当が支給されます。
 
なお、自己都合退職や懲戒解雇された方の場合は、7日間の待期に加え、2~3ヶ月の給付制限の経過後に失業手当が支給されます。
 
また、失業手当の1日当たりの給付額(基本手当日額)は、離職前6ヶ月の賃金日額のおよそ5~8割で上限額と下限額が定められています(※1)。
 

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失業手当に伴う年金の支給停止とは

60歳台前半で特別支給の老齢厚生年金を受給できる方が、65歳前に離職してハローワークで求職の申し込みをした場合、実際に失業手当を受給しているかどうかにかかわらず、一定の間は加給年金を含めて老齢厚生年金の全額が支給停止になります(※2)。
 

1. 基本的な調整方法

年金が支給停止される期間(以下、「調整対象期間」)は、求職の申し込みをした日の属する月の翌月から、失業手当の受給期間または所定給付日数が経過した日の属する月までとなります。
 
ただし、調整対象期間中においてハローワークで失業認定を受けず、失業手当を受給しなかった月がある場合は、その月分の年金は支給されます。
 
図表1
 

 

2. 事後清算が行われる場合

調整対象期間中に、失業手当を受けた日が1日でもある月は、年金が全額支給停止となります。このため、失業手当を受けた日数が同じ場合でも、月をまたいで失業手当を受けたか否かによって年金が支給停止される月数が異なる場合があります。
 
そこで、失業手当が実際に支給された日数を月数に換算し、失業手当が支給された月数よりも年金が停止された月が多い場合には、年金の支給停止が解除され、老齢厚生年金がさかのぼって支給されますが、このことを「事後清算」といいます。
 
事後清算により支給停止が解除される月数は、図表2の計算式で算定されます。
 
図表2
 

 
例えば、図表3のように5月に求職の申し込みを行い、6~12月までの7ヶ月間、特別支給の老齢厚生年金が支給停止となっていた方に対し、8~12月までの150日分の失業手当が支給されていた場合、11月と12月の2ヶ月分が事後清算されます。
 
図表3
 

 

まとめ

ハローワークで求職の申し込みをした月の翌月から、失業手当の受給期間が経過した月、または所定給付日数分を受け終わった月まで、加給年金を含めて特別支給の老齢厚生年金の全額が支給停止になります。
 
なお、65歳以降の方に支給される老齢年金は、支給停止の対象とはなりません。また、失業手当の給付制限期間中は一時的に収入が途絶えることや、失業手当を受けなかった月分の年金や失業手当の受給期間が経過したときの年金の支払いは数ヶ月後になることに注意する必要があります。
 

出典

(※1)厚生労働省 離職されたみなさまへ

(※2)日本年金機構 失業手当・高年齢雇用継続給付の手続きをされた方へ 雇用保険の給付を受けると年金が止まります!

 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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