更新日: 2023.02.22 その他年金
年金を「早めにもらうけど減る」「遅らせて増えた額でもらう」結局、どちらがいいの?
年金を65歳より早くもらうか遅くもらうかで、どれぐらい金額に違いが出るのでしょうか? そして、結局どちらの方がいいのでしょうか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
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目次
老齢年金の繰り上げ受給と繰り下げ受給
繰上げ受給とは
年金は、希望すれば60歳から1ヶ月単位で繰り上げてもらい始めることができ、これを「繰上げ受給」といいます。
ただし、繰り上げて受給すると、年金額は減額されます。減額率は受給開始時期によって決まり、1ヶ月繰り上げるごとに0.4%減額され、その減額率は生涯変わりません。最長の60ヶ月を繰り上げた場合の減額率は24%になります。
なお、昭和37年4月1日以前生まれの人の減額率は0.5%となり、60ヶ月繰り上げた場合の減額率は30%となります。
繰下げ受給とは
反対に、65歳以降75歳までの間であれば、もらい始める時期を繰り下げることもでき、これを「繰下げ受給」といいます。ただし、2022年4月以前に70歳を迎えた人(昭和27年4月1日以前生まれの人)は、70歳までしか繰り下げることができません。
増額率は受給開始時期によって決まり、1ヶ月繰り下げるごとに0.7%増額され、その増額率は生涯変わりません。最長の120ヶ月を繰り下げた場合、増額率は84%になります。なお、2022年4月以前に70歳を迎えた人(昭和27年4月1日以前生まれの人)が最長の60ヶ月(70歳)まで繰り下げた場合、増額率は42%となります。
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繰り上げ受給と繰り下げ受給のメリットとデメリット
繰上げ受給のメリットは、受給期間が長いことです。もしも、病気や事故などで早くに亡くなってしまった場合、減額されていたとしても早くから年金を受給していたことで、生涯に受け取った年金額が繰り上げずに受給するよりも多かったということもあります。
デメリットは、年金額が減額されてしまうことです。また、障害基礎年金や寡婦年金、遺族厚生年金と同時に受給することはできないので、それらを受給している人は受け取れなくなってしまいます。
繰下げ受給のメリットは、年金額が増額されることです。デメリットは、年金を受給する期間が短くなってしまうことです。
増額できたとしても、年金を受給できるのは生存している期間だけですので、病気や事故などで思いがけず早く亡くなってしまった場合、生涯で受け取れる年金額の総額は少なくなってしまいます。
そのほか、年金額が増額することで、社会保険料や税金も増えてしまう場合があります。また、厚生年金を受給している人は、加給年金がもらえなくなる場合もあります。
年金受給額60万円で試算してみよう!
仮に1年の年金額が60万円だったとして、60歳から繰り上げ受給した場合、年金額は45万6000円になります。75歳から繰り下げ受給した場合の年金額は、110万4000円になります。
この計算で、繰上げ受給で81歳まで年金を受け取ったら、年金総受給額が957万6000円です。繰り上げずに受給した場合、81歳までの年金総受給額が960万円ですので、81歳より早く亡くなってしまったとしたら、繰り上げ受給しておいた方が、おおよそ受け取った年金の総額は多かったといえます。
また、繰り下げ受給で87歳まで年金を受給した場合は、年金総受給額が1324万8000円です。繰り下げずに受給した場合、87歳までの年金総受給額が1320万円ですので、87歳より長生きできたら、繰り下げ受給した方が受け取れる年金の総額が多くなるといえます。
繰り上げ受給か繰り下げ受給かは、健康も含め自分の条件をよく確認して決めよう!
繰上げ受給と繰下げ受給、どちらも何歳まで受給できるのかが大きなポイントとなります。「何歳まで受給できるのか」とは、すなわち「長生きできるかどうか」ということです。
健康に不安があり、少しでも早く年金を受け取りたいという人は、繰上げ受給をすることで年金を治療費や生活費に充てることができます。
反対に、健康に自信があり長く働くことができる人は、繰下げ受給をすることで年金額を増額し、老後の資金を増やすことができます。
しかし、繰り上げや繰り下げをすることで、遺族年金や加給年金などのほかの年金が受け取れなくなったり、税金や保険料の負担額が増えてしまったりすることもありますので、ご自分の状況をよく確認しておくことが大切です。
それらを踏まえて、いつから年金を受給するのがよいのかをよく検討しましょう。
出典
厚生労働省 年金制度の仕組みと考え方 第11 老齢年金の繰り下げ受給と繰り上げ受給
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部