更新日: 2023.02.22 国民年金

年金が「10万円以上」ダウン!? 学生時代の国民年金を「追納」して将来の年金額を増やそう

執筆者 : 増田賢人

年金が「10万円以上」ダウン!? 学生時代の国民年金を「追納」して将来の年金額を増やそう
20歳になると、国民年金の保険料を支払う義務が発生します。とはいえ、20歳になってから就職するまで学生だった場合、保険料の納付が難しい人も多いのではないでしょうか。
 
そういった場合、「学生納付特例制度」の利用が可能です。ただし、この制度を使ったとしても保険料の納付が免除となったわけではなく、あくまで納付を猶予してもらっているに過ぎません。そのため猶予された保険料を追納しなければ、将来もらえる年金額は減ってしまいます。
 
本記事では、学生納付特例制度の注意点と追納の方法や、追納しないと老後の年金がいくら減ってしまうのかをシミュレーションして解説します。
増田賢人

執筆者:増田賢人(ますだ けんと)

2級FP技能士

FP2級技能士。青山学院大学教育人間科学部卒。在学時からFP2級を取得し、お金に関わるジャンルを得意とするライターとして活動。

その後、上場企業へ入社し、Webマーケティング担当として従事。現在はお金ジャンルを得意とする専業ライターに転身。「お金の知識は知ってるだけで得する」という経験を幾度もしており、全員にお金の基本を身につけてもらいたいと思って執筆を続けている。

学生時の国民年金保険料を追納しないといくら年金を損するのか

学生時代に猶予した国民年金保険料を追納しないと、将来の年金額はいくら減ってしまうのでしょうか。猶予期間を20~22歳、20~24歳、20~27歳の3パターンで検証した結果が、図表1です。なお、国民年金額は2022年度のものを参考に算出しています。
 
図表1


出典 日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について、日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度より筆者作成
 
最も一般的な20~22歳の間を猶予した場合は、年金額が月額3241円(年額3万8892円)減ります。また、大学院の博士課程まで進んだケースにおいては20~27歳の間が猶予されるので、年金額は月額1万1343円(年額13万6116円)減ってしまいます。
 
大小ありますが、学生時代の国民年金保険料を追納しないと、将来の年金額は目減りしたまま受け取ることになるので注意しましょう。
 
ただし、実際にもらえる年金額は物価に応じて毎年変わるため、今回のシミュレーション通りの差分が発生するわけではありません。
 

学生納付特例制度の2つの注意点

学生納付特例制度には、下記の2つの注意点があります。
 

・保険料を追納できる期間は10年間
・3年度目以降に追納すると加算額が上乗せされる

 
問題なく保険料を追納するために、それぞれ説明します。
 

保険料を追納できる期間は10年間

学生納付特例制度で猶予した保険料を追納できる期間は、10年までと決まっています。もし10年を過ぎてしまった場合、保険料は追納できません。つまり、将来もらえる年金額が減ってしまうので、注意してください。
 

3年度目以降の追納は加算額が上乗せされる

学生納付特例制度で猶予した保険料は、猶予した期間の翌年度から3年度目以降に追納すると、当時の保険料額に加算額が上乗せされてしまいます。
 
例えば、2022年度に猶予した場合、2025年度以降に追納する場合は、加算額が上乗せされるわけです。少しでもお得に国民年金をもらうために、できるだけ早めに追納しておくことをおすすめします。
 

学生納付特例制度で猶予した保険料を納付する方法

学生納付特例制度で猶予した保険料の追納方法は、国民年金保険料追納申込書を記載して近くの年金事務所の窓口に提出し、後日、専用の納付書が届いたら最寄りの金融機関などで追納します。申請書は郵送での提出も可能です。
 
必要書類はマイナンバーカードと運転免許証などの本人確認書類なので、忘れないようにしましょう。また、支払いに口座振替やクレジットカードは利用できません。
 

学生時代の国民年金保険料を追納して将来の年金額を少しでも増やそう

学生納付特例制度を使った人は、学生時代の国民年金保険料の支払いが猶予されています。10年以内に追納しないと、将来の年金額が減ってしまうので注意してください。
 
仮に20~27歳の間で追納しなかった場合、2023年時点では月額で1万円以上、年額で10万円以上もの年金額の差が出てしまいます。余裕資金があれば、学生時代の国民年金保険料を追納しておくのがおすすめです。
 

出典

日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
 
執筆者:増田賢人
2級FP技能士
 

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