更新日: 2023.03.02 その他年金
【年金の改正】負担が増えるから悪いのでは? 良いことって、あるの?
本記事では、2022年に報道された2つの改正に焦点を当て、それぞれ誰にとってどのような「良い面」と「悪い面」があるのかを考えていきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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基礎年金の給付抑制を早める検討
2022年9月、国民年金を5万円に維持するため厚生年金で穴埋めするという趣旨の報道が話題となりましたが、もしかすると、すべての会社員の厚生年金が国民年金に流用されると単純化して考えてしまう方もいるかもしれません。
ただし注意したいのは、厚生年金の報酬比例部分は給与によって保険料、および将来の給付額は異なるということです。そのため負担増となるのは、2019年の賃金水準で世帯年収が1790万円以上の場合に限られます。
厚生労働省の試算では、世帯収入1790万円未満は年金額が増えるものの、影響を受けるのは一部の高所得者と、基礎年金給付の半分を負担する財務省だけです。
逆にいえば、世帯年収1790万円以上の人にとっては負担の増加につながる、いわば「悪い」改正と捉えられるでしょう。
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国民年金の保険料納付期間延長
2022年10月には、国民年金の保険料納付期間を、64歳までの5年延長となるかもしれないということが話題となりました。これは、現在国民年金の納付期間と定められている20~60歳の40年間から、20歳~65歳までの45年間に納付期間が延長されるのでは、というものです。
保険料納付期間の「延長」ということで、保険料の負担額増加が注目されがちですが、その一方で、基礎年金部分の受取額がその分増えることになるかもしれません。
また、65歳以降も働く人にとっては、一概に「悪い」改正ではないといえるでしょう。
厚生年金の適用拡大
2024年10月から社員数51人以上の企業に勤めるパートやアルバイトなど非正規雇用者も、厚生年金に加入できるように厚生年金の適用拡大となります。
一時的な収入減はあるものの、扶養を抜けて働くことで収入が増えて年金額も上がります。仮に月収8万8000円の人が厚生年金に加入した場合、図表1のとおり年金額が増加します。
【図表1】
出典:政府広報オンラインより著者作成
ほかにも扶養から抜けて医療保険(健康保険)に加入した場合、以下のとおり給付が増えます。
・4日以上働けなくなったときに「傷病手当金」が3分の2程度の給付を受け取れる
・産休・育休のときに「出産手当金・休業給付金」が3分の2程度の給付を受け取れる
また障害年金では、障害基礎年金の場合、1級または2級に該当したときに支給されますが、障害厚生年金の場合は3級の場合も支給されるため、国民年金加入者よりも軽度の状態で支給対象となります。
このように、収入が減少してしまう部分ばかりがクローズアップされがちな厚生年金の適用拡大ですが、手当や支給の範囲が拡大する面もあります。
まとめ
年金は複数の制度が複雑に組み合わさって成り立っており、改正に関する情報をニュースメディアやSNSなどで目にする場合には、情報のごく一部を切り取られ、話が単純化されていることもあります。
年金の制度改正については「良い面」と「悪い面」の両方に冷静な視点で目を向けつつ、誰にとってどのようなメリット、デメリットがあるかを理解するよう心がけてみましょう。
出典
政府広報オンライン パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険加入により手厚い保障が受けられます。
日本年金機構 被保険者保険の適用拡大について
厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方] 第7 マクロ経済スライドによる給付水準調整期間
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部