更新日: 2023.03.07 その他年金
年金の「繰下げ受給」は「すぐに受給」に変更できる? 初回振り込みは何ヶ月後?
しかし選択したものの、状況の変化に伴い、年金の繰下げ待機中からすぐに受給したいケースもあるかもしれません。その場合、年金の繰下げ待機期間中でも、手続きを行えば年金の受け取りが可能です。
本記事では、年金の繰下げ受給の概要、年金の繰下げから「すぐに受給」に変更した場合の、初回振り込みまでにかかる時間について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
年金の繰下げ受給とは?
原則として65歳で受給資格を得る老齢基礎年金と老齢厚生年金ですが、受給年齢を66歳以降75歳までに繰り下げられます。1ヶ月繰り下げるごとに受け取れる年金が0.7%ずつ増額し、75歳まで繰り下げた場合の増減率は84%です。
老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時にでも、またはどちらか一方のみでも繰り下げられます。「老齢基礎年金だけ65歳で受け取って老齢厚生年金は70歳から受け取る」「健康には自信があるから、老齢基礎年金と老齢厚生年金どちらも75歳まで繰り下げる」など、状況に合った選択が可能です。
65歳以降も定期収入を得ている人や、生活に困らないくらいの貯蓄のある人なら、年金の繰下げ受給を選択するメリットは大きいでしょう。
自分で年金請求手続きを行わない場合は自動で繰り下げとなる
65歳になって老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給資格を得ても、自動的に受け取れるわけではありません。年金を受け取るためには、自分で年金請求の手続きを行わなければなりません。
65歳に到達する3ヶ月前に、日本年金機構より年金請求書が届きます。年金請求書を提出しなければ、そのまま繰り下げ扱いになって年金額が増える仕組みです。
老齢基礎年金や老齢厚生年金のうち、どちらか一方を繰り下げる場合は、年金請求書の繰下げ希望欄の「老齢基礎年金のみ繰下げ希望」「老齢厚生年金のみ繰下げ希望」のいずれかを選択して提出してください。
70歳までしか繰り下げできないケースがある
令和4年4月以降、老齢基礎年金や老齢厚生年金を繰り下げられる年齢が、70歳から75歳まで引き上げられています。
しかし、昭和27年4月1日以前に生まれた人が年金を繰り下げできる上限は、70歳に達した月までです。昭和27年4月1日以前の生まれで、現在70歳を超えている人は「75歳まで繰り下げよう」と思っても繰り下げられないので注意してください。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
年金の繰下げ受給からすぐに受給に変更できる?
年金の繰下げ待機期間(年金を受け取っていない期間)でも、年金事務所、または街角の年金相談センターに繰下げ請求書を提出すれば、手続きを行った時点の増額率で年金を受け取れます。
その際に、市区町村役所の年金課では年金の繰下げ受給の手続きはできませんので注意してください。
また、年金の受取開始時期を繰り下げた場合、5年までさかのぼって一括請求できます。年金を受け取る権利の時効は5年間なので、未請求のまま5年が経過すると、5年より前の年金は受け取れません。
例えば、年金の繰下げ待機期間中の72歳で一括請求するとしたら、65歳から67歳までの2年分は時効により受け取れません。67歳から72歳までの期間は、増額していない年金を受け取れます。
ただし、令和5年4月以降は「特例的な繰下げみなし増額制度」によって、請求日の5年前に繰下げ受給の申し出があったものと見なされます。増額された5年分の年金を一括で受け取ることが可能です。
初回振り込みまでに約2ヶ月半~3ヶ月半かかる
年金は、原則として偶数月の15日に指定した口座へ振り込まれる仕組みです。年金の受給権利が発生した日の翌月分から支給対象となりますが、初回振り込みまでにかかる時間は、約2ヶ月半~3ヶ月半程度とされています。
繰下げ受給の手続きを行えばすぐに年金を受け取れるわけではないので、時間に余裕を持って手続きを行う、年金受給までに時間がかかることを想定して事前に生活費を確保しておく、といった対応を心がけましょう。
年金の繰下げ受給の手続きから振り込みまでには時間がかかる
年金の繰下げ待機期間でも、年金事務所、または街角の年金相談センターに繰下げ請求書を提出することで、年金を受け取れるようになります。手続きを行った時点での増減率が一生涯継続するので、繰り下げた期間が長いほど、まとまった額の年金を受け取れるでしょう。
しかし、繰下げ受給をやめて年金を受け取りたいと思っても、すぐに変更できるわけではありません。実際に指定した金融機関口座へ振り込まれるまでには、約2ヶ月半~3ヶ月半ほどの時間がかかる点を理解した上で、繰下げ受給の手続きを進めましょう。
出典
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 老齢年金の請求手続き
日本年金機構 令和5年4月から老齢年金の繰下げ制度の一部改正が施行されます
日本年金機構 66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部