【熟年離婚】年金分割はそのまま半分もらえるわけではない! 分けられる年金部分と対象期間など注意点は?
配信日: 2023.03.11
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
年金分割の概要
年金分割の方法は、「合意分割」と「3号分割」があります。合意分割と3号分割の違いは、以下の視点で捉えると分かりやすいです。
・誰が請求できるのか(請求できる方)
・どの期間の年金を分けられるのか(対象となる期間と年金)
・どのように分けられるのか(分割の割合)
この視点で、合意分割と3号分割を対比すると、表1のようになります。
【表1】
合意分割 | 3号分割 | |
---|---|---|
請求できる方 | 当事者の一方または双方 | 国民年金の第3号被保険者であった方 |
対象となる期間と年金 | 婚姻期間中の厚生年金記録 | 婚姻期間中の第3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録 |
分割の割合 | 当事者双方の合意または裁判手続により定める | 2分の1(合意は不要) |
※日本年金機構のホームページより筆者作成
ここから、合意分割の「合意」が分割の割合の「合意」を意味し、3号分割の「3号」が国民年金の第「3号」被保険者を意味することが分かります。また、この2種類の分割方法が相反するものではないということも分かります。
つまり、年金分割は、一般的な方法として合意分割があり、婚姻期間中に国民年金の第3号被保険者であった期間がある場合は3号分割という方法がある、ということです。
婚姻期間中に国民年金の第3号被保険者であった期間がある場合、3号分割を請求することにより、その期間における相手方の厚生年金記録を2分の1ずつ、当事者間で分割することができます。これには当事者間での合意は必要ありません。
また、合意分割を請求した場合であっても、3号分割の対象となる期間がある場合には、その期間については3号分割を請求したものとして取り扱われます。
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年金分割の注意点
年金分割で注意したいのは、以下のような点です。
・合意分割の場合、合意により按分割合(分割の割合)を決める
・年金分割の請求期限は、離婚から2年以内
3号分割の場合、分割の割合は2分の1ずつであり、当事者間の合意は必要ありません。しかし、合意分割の場合は、分割の割合について合意が必要となり、2分の1ずつとは限りません。
両者の協議がまとまらず合意に至らない場合、裁判で決着することになります。按分割合の範囲は、以下の考え方により決められます。
・分割によって、分割を受ける側(対象期間標準報酬総額の少ない方)が、元々の持ち分を減らすことがないようにする
・分割によって、分割される側(対象期間標準報酬総額の多い方)の対象期間標準報酬総額が、分割を受ける側の対象期間標準報酬総額を下回らないようにする
簡単にいえば、分割を受ける側について「元々の持ち分」以上「分割後の相手方の持ち分」以下ということであり、この範囲で按分割合を決めるということです。
年金分割の請求期限は、原則として、離婚をした日の翌日から起算して2年以内です。これは、合意分割でも3号分割でも同じです。
そのほか、「婚姻の取り消しをしたとき」「事実婚関係にある方が国民年金第3号被保険者資格を喪失し、事実婚関係が解消したと認められるとき」も同じように年金分割を請求できますが、請求期限は「その翌日から起算して2年以内」です。
この期限を過ぎてしまうと、請求できなくなります。
まとめ
離婚をした場合、あるいは離婚を考えた場合、当然、その後の生活を考えなければなりません。年金もその1つでしょう。
婚姻期間中の年金については分割することができます。年金分割には、「合意分割」と「3号分割」という制度があり、本記事で、これらの制度の概要や押さえておきたいポイント・注意点について解説しました。
婚姻期間が長ければ、それだけ年金分割の重要性も増してきます。婚姻期間中に国民年金の第3号被保険者であった期間があるなら、なおさらです。
ただ、注意しなければならないのは、婚姻期間中に国民年金の第3号被保険者でない期間(つまり、第1号被保険者または第2号被保険者であった期間)があるなら、婚姻期間中の厚生年金記録は、当然のように2分の1にはならないということです。
この期間については、当事者間の合意が必要となります。このほかにも、年金分割の注意点について、本記事で紹介しました。年金分割について、本記事が参考になれば幸いです。
出典
法務省 「年金分割」
日本年金機構 「離婚時の年金分割」
日本年金機構 「按分割合は、どのようにして定められるのですか」
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー