更新日: 2023.03.13 その他年金

65歳から繰下げ期間分、年金が割増しになる「繰下げ受給」。デメリットは?

65歳から繰下げ期間分、年金が割増しになる「繰下げ受給」。デメリットは?
年金には、受給開始の時期を遅らせることで65歳から繰下げた期間の分だけ受給額が割増しになる、「繰下げ受給」とよばれる制度があります。しかし、繰下げ受給にはデメリットもあるので、安易に行うのはよくありません。
 
本記事では、年金の繰下げ受給にどのようなデメリットがあるのか紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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【デメリット1】年金の総額が減るリスク

年金の受給開始が遅れると、受け取る総額が通常より少なくなるリスクが生じます。普通に受給するケースより多く受け取りたいなら、長生きすることが前提になるので注意しましょう。
 
令和4年の国民年金の満額は、年間で約77万7800円です。その金額を65歳から受給し続けると仮定したら、87歳までの22年間で総額は約1711万円になります。
 
一方、最大の84%割増しした年金を75~87歳までの12年間受給すると、総額は約1717万円です。このように受給開始を75歳まで繰下げると、87歳まで生きてようやく通常の総額と同程度になります。
 

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【デメリット2】国や自治体への納付額アップ

年金の受給額が高くなると、その分だけ所得も増えることになります。しかし、所得が増加すれば、所得税や住民税といった税金の負担も大きくなるのです。さらに、介護保険料や国民健康保険料のような社会保険料の納付額も上がります。
 
こうして国や自治体に納める金額が高くなることを理解していないと、いざ年金を受け取り始めてから困りかねません。受給を我慢して繰下げたにもかかわらず、期待していたほどの余裕をもてないという結果になりやすいです。
 
このような事態を避けるには、年金だけでなく、税金や社会保険料に関してもシミュレーションしておくことが大事です。どれくらいの金額が手元に残るのかチェックし、不足しそうな場合は他の手段でまかなう必要があります。
 

【デメリット3】加給年金の期限に到達

厚生年金の被保険者である期間が20年以上の場合、加給年金を受け取れる可能性があります。受給にはいくつかの条件が定められており、65歳未満の配偶者がいることもその一つです。18歳の年度末までの子どもがいることも同様で、いずれにせよ家族の年齢によって受給期間に上限が設けられています。
 
そこでポイントになるのが、加給年金は年金に加算されるというルールです。年金の扶養手当といえるものであり、年金の受給が始まらないと受け取れません。
 
受給開始を繰下げた結果、それまでに配偶者や子どもが上記の年齢を上回るケースも見受けられます。この場合、加給年金を受け取る権利が消滅するので気を付けましょう。
 

デメリットにも目を向けて対策を!

老後の暮らしを豊かにしたい人は、年金の繰下げ受給を魅力的に感じるかしれません。たしかに割増しというメリットはありますが、デメリットの存在にも注意する必要があります。自分が受ける影響を明確にしたうえで、本当に繰下げるのか判断することが重要です。
 
制度を利用する場合は、デメリットの詳細も把握し、効果的な対策を検討しておきましょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
日本年金機構 か行 加給年金額
日本年金機構 加給年金額と振替加算
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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