更新日: 2023.03.13 その他年金

受給開始時期によって年金額が2倍に! 年金の損益分岐点は何歳?

受給開始時期によって年金額が2倍に! 年金の損益分岐点は何歳?
年金の受取開始時期を前倒したり、遅らせたりすることで年金額が変わることを知っていても、実際に何歳から受け取るのが得なのかを理解していない人も多いのではないでしょうか。
 
受け取れる年金額を増やしたい場合には、通常の65歳で年金を受け取らず、66歳以降75歳までの間に繰下げるとよいでしょう。繰下げた月数に応じて受け取れる年金が増額し、最大84.0%の増減率が生涯にわたって保証されます。
 
本記事では、年金の繰下げ受給の概要をはじめ、繰下げ受給を選択した場合の損益分岐点について解説します。

【PR】SBIスマイルのリースバック

おすすめポイント

・自宅の売却後もそのまま住み続けられます
・売却金のお使いみちに制限がないので自由に使えます
・家の維持にかかるコスト・リスクが無くなります
・ご年齢や収入に制限がないので、どなたでもお申し込みいただけます

FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

年金の繰下げ受給の概要

年金の繰下げ受給とは、受給資格が発生する65歳で年金を受け取らずに66歳以降75歳までの間に遅らせる制度です。繰下げた期間に応じた増額率(最大84.0%)が適用され、生涯にわたって増額した年金を受け取れます。
 
また、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方、またはどちらか一方の繰下げもできるので、そのときの経済状況に合った選択が可能です。
 
65歳以降も給与収入や不動産収入があったり、年金以外の方法で当面の生活費を用意できたりするのであれば、ぜひ活用したい制度といえるでしょう。
 

年金の繰下げ受給の増額率

年金の繰下げ受給を選択した際に増額される年金額は、老齢基礎年金(振替加算額を除く)および老齢厚生年金(加給年金額を除く)に、以下の増額率を掛けて計算します。
 
・繰下げ受給による増額率=0.7%×65歳の誕生日から繰下げ請求月の前月までの月数
※昭和27年4月1日以前生まれの人は繰下げの上限年齢が70歳まで
 
年金の受取開始時期を65歳から70歳まで繰下げた場合の増減率は42.0%、最大の75歳まで繰下げれば増減率を84.0%にまで増やせます。ただし、年金の繰下げ受給後すぐに亡くなるなど万が一のことが起きれば、65歳で年金を受け取るよりも年金総額が少なくなる場合があります。
 

【PR】SBIスマイルのリースバック

おすすめポイント

・自宅の売却後もそのまま住み続けられます
・まとまった資金を短期間で手に入れられます
・家の維持にかかるコスト・リスクが無くなります
・借り入れせずに資金を調達できます

年金の繰下げ受給による損益分岐点は何歳?

年金の繰下げ受給を選択した際に得となるのは、増額によって受け取れる年金総額が通常の65歳から受給したときの年金総額を超える年齢まで長生きした場合です。繰下げ受給の請求時の年齢別増額率とおおよその損益分岐点をまとめると図表1のとおりなので、参考にしてみてください。
 
図表1

請求時の年齢 繰下げ増額率 損益分岐点の年齢
66歳0ヶ月 8.4% 77歳11ヶ月
67歳0ヶ月 16.8% 78歳11ヶ月
68歳0ヶ月 25.2% 79歳11ヶ月
69歳0ヶ月 33.6% 80歳11ヶ月
70歳0ヶ月 42.0% 81歳11ヶ月
71歳0ヶ月 50.4% 82歳11ヶ月
72歳0ヶ月 58.8% 83歳11ヶ月
73歳0ヶ月 67.2% 84歳11ヶ月
74歳0ヶ月 75.6% 85歳11ヶ月
75歳0ヶ月 84.0% 86歳11ヶ月

出典:日本年金機構「年金の繰下げ受給」より筆者作成
 
65歳から受け取る年金を100%とした場合、100%を1ヶ月あたりの増減率である0.7で割ると142.85です。これを12(ヶ月)で割ると11.904となり、繰下げ受給を請求して受給開始となったタイミングから11年11ヶ月以上経過すれば、繰下げ受給がお得になる計算です。
 

令和3年の平均寿命と余命は

厚生労働省の「令和3年簡易生命表」によると、男性の平均寿命は81.47歳、女性の平均寿命は87.57歳であると伝えています。また、主な年齢の平均余命をまとめると図表2のとおりです。
 
図表2

年齢 男性 女性
65歳 19.85年 24.73年
70歳 15.96年 20.31年
75歳 12.42年 16.08年

出典:厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」
 
年金の繰下げ受給は、損益分岐点となる年齢よりも長生きした場合に得となります。しかし、その年齢まで確実に生きていける保証はありませんし、寿命は誰にも分からないところでしょう。損益分岐点だけで繰下げた年金の受取年齢を決めるのではなく、自身の寿命を考慮して検討することが大切です。
 

自分に合った年金の受け取り方を検討しよう

平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳という結果なので、自分の寿命が繰下げ受給の損益分岐点の年齢を超える予定であれば検討してみる価値は大きいでしょう。繰下げる期間が1年や2年間であっても、通常の65歳で受け取るよりも受給額に違いが出ます。
 
老後の生活費をまかなう方法は限定されがちなので、少しでも多くの年金を受け取れるように適した受給開始時期を検討してみてください。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部