年金を受け取りながら働くと「支給停止」に!? 条件や仕組みについて解説
配信日: 2023.03.14
この記事では、働きながら年金を受給するといくら受給額が減るのか、計算式を元に具体的な金額を解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年金の支給調整・支給停止になる条件は2つ
公的年金受給者が以下に該当した場合、支給調整もしくは支給停止になるため注意してください。
・公的年金を受給しながら働いている場合
・高年齢雇用継続給付を受けている場合
まずは、年金受給者が年金の支給調整・支給停止となる条件について見ていきましょう。
在職中は一部または全部が支給停止
厚生年金保険へ加入しながら、老齢厚生年金を受給する人は、基本月額や総報酬月額相当額次第で一部支給停止となります。
基本月額とは年金額を12で割った金額を指します。総報酬月額相当額は、毎月の賃金と1年間の賞与を12で割った金額を足した金額を指します。
基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下である場合は、満額年金が支給されます。しかし、47万円を超過した場合は、以下の計算式によって一部支給停止となります。
支給停止額 = (総報酬月額相当額+基本月額-47万円) ×1/2×12
例えば、基本月額(20万円)と総報酬月額相当額(40万円)の合計額が60万円だった場合は、以下のとおりです。
(40万円+20万円-47万円)×1/2×12=78万円(月額6万円)
つまり、老齢厚生年金が年間で78万円(月額6万円)減額されることになります。
高年齢雇用継続給付を受ける場合
年金を受給しながら厚生年金保険へ加入し、高年齢雇用継続給付を受ける場合は、一部支給を停止されてしまいます。また、高年齢雇用継続給付を受ける場合は、上記で解説した支給停止に加えて、一部支給停止となります。
高年齢雇用継続給付とは、雇用保険への加入年数5年以上の60歳~65歳の人を対象とした制度です。賃金等が60歳到達時点の75%未満になった場合に、最大で賃金額の15%が雇用保険から支給されます。
高年齢雇用継続給付に伴う支給停止額は以下の方法で計算をします。
総報酬月額×6%=支給停止額
例えば、総報酬月額が40万円の人であれば、「30万円×6%=2万4000円」が支給停止額となります。先に解説した支給停止額と合わせると、合計支給停止額は以下のとおりです。
1.(40万円+20万円−47万円)×1/2×12=78万円(月額6万円)
2.30万円×6%=2万4000円
3.6万円+2万4000円=8万4000円
つまり、厚生年金保険より8万4000円の支給が停止される計算です。
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満額受け取るためには調整して働く必要がある
老齢厚生年金を満額受け取るためには、支給停止とならないように調整をして働かなければいけません。基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下である場合は、年金の支給停止が行われません。そのため、この範囲内で働くと良いでしょう。
また、年金の受け取りを先延ばしにしても良いでしょう。現在は、75歳まで繰下げ受給をすることができます。元気でまだまだ働けるという人は、すぐに年金を受給せずに繰下げ受給を検討すると良いでしょう。繰下げ受給をすることにより、1ヶ月ごとに0.7%支給額が加算されます。最大で84%加算されるため、検討してみてはいかがでしょうか。
出典
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部