年金に追加して支給される「年金生活者支援給付金」とは? 金額や支給要件を解説

配信日: 2023.03.30

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年金に追加して支給される「年金生活者支援給付金」とは? 金額や支給要件を解説
年金受給者の中には、年金の支給日に年金とは別に「年金生活者支援給付金」が振り込まれている人がいます。本記事では、年金に比べてあまり知られていない「年金生活者支援給付金」について解説します。
福嶋淳裕

執筆者:福嶋淳裕(ふくしま あつひろ)

日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

リタイアメントプランニング、老後資金形成を得意分野として活動中の独立系FPです。東証一部上場企業にて、企業年金基金、ライフプランセミナー、DC継続教育の実務経験もあります。

https://www.fp-fukushima.com/

年金生活者支援給付金制度とは

年金生活者支援給付金は、「低所得の年金受給者の生活を支援する」という目的で年金に上乗せして支給されるものです。消費税率の引き上げに合わせて2019年10月から施行されました。公的年金(基礎年金・厚生年金)と同じく日本年金機構から振り込まれますが、年金ではありません。
 

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支給要件と給付金の額


受け取っている「基礎年金」の種類によって、年金生活者支援給付金は支給要件と給付金の額が異なります。なお、給付金額は令和4年10月時点のものです。
 

「老齢基礎年金」を受け取っている人

「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件と給付金の額は次のとおりです。
 

支給要件

次のすべてを満たす人が対象です。
 

・65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
・同一世帯の全員が市町村民税非課税である(=住民税非課税世帯である)。
・前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が78万1200円以下である(障害年金、遺族年金などの非課税収入は除く)。

 

給付金の額

その人の保険料納付済期間と保険料免除期間に基づいて算出され、上限は月額5020円です。
 

「補足的」老齢年金生活者支援給付金

所得要件をわずかに満たさなかった人との収入の逆転を防ぐため、前年の年金収入とその他の所得との合計が「78万1200円超、88万1200円以下」だった人には、他の2つの要件を満たせば「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。給付金の額は保険料納付済期間と一定の調整率によって算出されますが、「老齢年金生活者支援給付金」よりは少ない額になります。
 

「障害基礎年金」を受け取っている人

「障害年金生活者支援給付金」の支給要件と給付金の額は次のとおりです。
 

支給要件

次のすべてを満たす人が対象です。
 

・障害基礎年金の受給者である。
・前年の所得(障害年金などの非課税収入を除く)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)。

 

給付金の額

・障害等級1級の場合、月額6275円
・障害等級2級の場合、月額5020円

 

「遺族基礎年金」を受け取っている人

「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件と給付金の額は次のとおりです。
 

支給要件

次のすべてを満たす人が対象です。
 

・遺族基礎年金の受給者である。
・前年の所得(遺族年金などの非課税収入を除く)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)。

 

給付金の額

月額5020円です。ただし、2人以上の「子」が遺族基礎年金を受給している場合は、5020円を子の数で割った額が1人あたりの支給額となります(「子」とは、18歳になった年度の3月31日までの子、20歳未満で障害等級1級または2級の子です)。
 

年金生活者支援給付金についての注意事項

上記の金額はすべて2022年度のものであり毎年度、改定されるため注意が必要です。また、次のいずれかに該当すると給付金は支給されません。
 

・日本国内に住所がないとき
・年金が全額支給停止のとき
・刑事施設等に拘禁されているとき

 
給付金は原則として請求の翌月分から支給されます(公的年金と同様、偶数月の中旬に前月分と前々月分が振り込まれます)。請求が遅くなった場合は年金と異なり、受給権が生じた時点にさかのぼっての支給は行われません。ただし、新たに基礎年金の受給権を得た人に限り、受給権を得た日から3ヶ月以内であれば、さかのぼって支給されます。
 
支給の対象期間は、10月から翌年9月までが1サイクルです。2サイクル目以降は、日本年金機構が市町村などから取得した9月末時点の世帯状況および前年の所得情報をもとに、要件を引き続き満たしているかどうかを審査して継続認定を行います。
 
請求手続きは年金事務所(日本年金機構)宛てに行いますが、原則として、基礎年金の受け取りを請求するときに、給付金の受け取りを併せて請求します。日本年金機構は、把握した情報をもとに、給付金の受給権が発生すると見込まれる人や、基礎年金を受給中で新たに給付金を受け取ることができるようになった人に対し、手続き書類を送付しています。
 
ただし、世帯構成の変更により非課税世帯になった場合(例えば、住民税を課税されていた夫が亡くなり、非課税の単身世帯になった妻など)、早めに受け取り始めるためには自ら請求手続きする必要があります。最寄りの年金事務所に問い合わせましょう。
 

まとめ

年金生活者支援給付金は、支給額は大きくないものの、対象者にとっては継続的な生活支援となる制度です。収入が老齢基礎年金(国民年金)に限られる親や親族や、遺族厚生年金等、高額であっても非課税の年金収入がある人など、もし身近に対象になりそうな人がいたら、話題にしてみてはいかがでしょうか。
 

出典

厚生労働省 年金生活者支援給付金制度について
日本年金機構 年金生活者支援給付金
 
執筆者:福嶋淳裕
CMA、CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー

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