更新日: 2023.04.01 厚生年金

【FP相談】内縁関係の夫が亡くなりました。私は遺族年金を受け取れないのでしょうか

【FP相談】内縁関係の夫が亡くなりました。私は遺族年金を受け取れないのでしょうか
夫を亡くしたA子さんから、遺族年金について相談を受けました。A子さんと夫は、戸籍上の夫婦ではありませんでした。入籍していなくても遺族年金を受け取れるのか、受け取れるとしたらどのような手続きが必要なのか知りたいとのこと。内縁(事実婚)の妻の遺族年金について解説します。
 
【A子さんからの相談】
A子さんは68歳。73歳で亡くなった夫とは、10年前から一緒に暮らしていました。ただ夫は再婚で、当初夫の子どもたちから反対を受けたので、入籍しませんでした。その後、夫の子どもたちも次第に認めてくれるようになりましたが、入籍しないままでした。住所は同じですが、住民票は別世帯です。
 
これまで、生活費は夫の老齢年金(厚生年金+基礎年金)とA子さんの老齢年金(基礎年金のみ)でやりくりしてきましたが、自分の年金だけでは生活できそうになく、困っていました。そのようなとき、知人から内縁でも遺族年金を受け取れるらしいと聞き、相談することにしました。
蟹山淳子

執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)

CFP(R)認定者

宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。

内縁の妻も遺族年金を受け取ることができる

公的年金制度の遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。遺族基礎年金は18歳以下の子どもがいなければ受け取ることができません。A子さんが受け取れる可能性があるのは遺族厚生年金です。
 
A子さんの夫は会社員として25年以上厚生年金に加入し、老齢厚生年金を受け取っていました。したがって、生計維持されていた配偶者は、亡くなった後に遺族厚生年金を受け取ることができます。金額は夫が受け取っていた老齢厚生年金(老齢基礎年金は除く)の4分3です。
 
公的年金制度では、内縁関係であっても夫婦と同様に暮らしていた場合は配偶者として認められます。ただし、遺族年金を受け取るには、日本年金機構に遺族年金の請求手続きをするとともに、事実婚関係で生計を一にしていたと認めてもらわなければなりません。
 

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遺族年金を受け取るための手続き

遺族年金の請求手続きは、年金請求書に以下の添付書類をつけて、最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターへ提出して行います。
 

添付書類(一般に必要なもの)

(1)基礎年金番号通知書または年金手帳等
(2)戸籍謄本(記載事項証明書)または法定相続情報一覧図の写し
(3)世帯全員の住民票の写し
(4)死亡者の住民票の除票
(5)請求者の収入が確認できる書類(所得証明書、非課税証明書など)
(6)死亡診断書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
(7)遺族年金を受け取る銀行口座の通帳など

 
上記のうち、(3)と(5)はマイナンバーを年金請求書に記入することで省略できます。(2)(4)(6)は、戸籍上の親族でないと請求が難しいケースがあるかもしれません。しかし、A子さんの場合は夫の子どもが2人の夫婦関係を認めてくれているそうなので、いざとなれば協力を頼むことができそうです。
 
事実婚の配偶者の場合は、一般的な添付書類に加えて、「事実婚関係及び生計同一関係に関する申立書」に証明書類を添付して提出しなければなりません。

事実婚関係及び生計同一関係を証明する書類

事実婚関係及び生計同一関係とは、入籍はしていなくても、入籍している夫婦と同じように生活し、生活に必要な費用が主に亡くなった配偶者の収入で賄われていたということです。証明できる書類として、日本年金機構は以下のものを挙げています。
 
図表1


 
A子さんの場合、ア~オに該当するものはなかったので、その他の証明書類のなかから探すことに。連名の郵便物として、昨年の年賀状から夫婦連名の宛名になっているものや、夫の名字でA子さんに宛てたものを数点、そしてA子さんを受取人にしていた夫の生命保険の証書を添付することにしました。
 
「事実婚関係及び生計同一関係に関す申立書」には、第三者が2人の関係を証明する欄がありますが、A子さんと夫は住民票では別世帯だったものの同じ住所だったので、記入の必要はありません。
 

A子さんのその後

A子さんの夫は遺言書を準備していて、2人で暮らしていたマンションをA子さんに残し、金融資産はすべて子どもたちが相続しました。生命保険の金額は決して大きなものではなく、金融資産をA子さんが受け取らなかったこともあり、夫の長女が戸籍謄本等の書類取得に協力してくれ、遺族厚生年金の請求はスムーズに進んだようです。
 
その後しばらくして、「遺族厚生年金の受給が決まり、ほっとしました」とA子さんから連絡がありました。
 

出典

日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 生計同一関係証明書類等について
 
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者
 

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