更新日: 2023.04.04 厚生年金

4~6月の給与で厚生年金の保険料が決まる? それなら残業しないほうがトク?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

4~6月の給与で厚生年金の保険料が決まる? それなら残業しないほうがトク?
「4~6月は残業しないほうが厚生年金保険料がおトクになるって聞いた」「厚生年金保険料ってどう決められているの?」といった疑問を持つ人もいるでしょう。確かに4~6月の給与が少ないと、その後1年間に収める厚生年金保険料は抑えられますが、同時にデメリットもあります。
 
本記事では、4~6月に残業しないほうが厚生年金保険料を抑えられる理由や、計算方法について解説します。厚生年金保険料を抑えるデメリットについても知り、自分にとって最適な選択ができるようにしましょう。
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4~6月は残業しないほうが厚生年金保険料はおトクか?

4~6月の給料によって、厚生年金の保険料を含む社会保険料が決まります。そのため、4~6月は残業せずに給料を抑えれば社会保険料が安くなり、厚生年金の保険料も抑えられます。厚生年金保険料だけを考えるなら、おトクといえるでしょう。
 
しかし、4~6月の給料が少ない場合、受け取れるはずの公的保障(傷病手当金・出産手当・各種厚生年金額など)が減ります。いざというときに受け取れる保障が減ってしまうというデメリットがあることも、頭に入れておきましょう。
 

厚生年金保険料を含む社会保険料が決まる仕組み

社会保険料とは「健康保険料」「厚生年金保険料」「介護保険料(被保険者が40歳以上の場合のみ徴収)」で構成されます。社会保険料が決まるのは4~6月の給与であるものの、単純な月の給与ではなく標準報酬月額というもので計算されます。
 
本項では、標準報酬月額とは何か、標準報酬月額を使って厚生年金保険料がいくらになるかの計算方法を解説します。
 

標準月額報酬とは

標準報酬月額とは、事業主からの届け書に基づいて日本年金機構が決定するもので、社会保険料などの保険給付額を決める基準として利用されます。
 
標準報酬月額を決める手だてとなるのが、報酬月額です。報酬月額とは、基本給に残業手当などの各種手当を加えた4~6月の1ヶ月あたりの総支給額で、臨時に支払われるものと3ヶ月以上の期間ごとに受ける賞与等を除きます。
 
厚生年金の保険料の場合、報酬月額を保険料額表の1等級(8万8000円)から32等級(65万円)までの32等級に分け、その等級に該当する金額をもって標準報酬月額とします。
 

標準報酬月額が決まるタイミング

標準報酬月額が決まるのは、資格取得時決定・年1回の定時決定・随時改定等の3つです。資格取得時決定時とは、入社時に「どの程度の給与があるか」を想定して決められます。
 
年1回の定時決定は、4~6月の報酬月額から標準報酬月額を決定し直します。決定し直された標準報酬月額は、その年の9月から翌年8月までの各月に適用されます。
 
随時改定では、収入に大きな変化があった場合、定時改定を待たずに標準報酬月額が見直されます。
 

厚生年金保険料の計算方法

いくらの厚生年金保険料を支払うのかを知るための計算方法があります。計算の際は、以下のように標準報酬月額と保険料率を用いて算出しましょう。
 
・標準報酬月額 × 18.3%÷ 2=被保険者が負担する厚生年金保険料
 
厚生年金保険料率は誰でも18.3%で固定されています。また、保険料は会社と折半になるため、半額となります。
 
標準報酬月額が30万円の場合と、4~6月に残業して標準報酬月額が34万円と、4万円あがった際に厚生年金保険料がいくら増えるか、計算してみましょう。
 

・標準報酬月額が30万円……30万円×18.3%=5万4900円÷2=2万7450円
・標準報酬月額が34万円……34万円×18.3%=6万2220円÷2=3万1110円

 
4~6月に残業して標準月額報酬が4万円アップすると、3万1110円-2万7450円=月々3660円の厚生年金保険料の負担が増えます。
 

4~6月は残業しなければ厚生年金保険料はおトクになる

4~6月は残業をしなければ標準報酬月額を抑えられ、支払う厚生年金保険料が安くなります。しかし標準報酬月額が減ると、その他の公的保障で受け取れる金額が減る点には注意が必要です。
 
会社員は社会保険料の仕組みを知り、何が自分にとって良い選択かを知るところから始めましょう。
 

出典

日本年金機構 定時決定(算定基礎届)
日本年金機構 標準報酬月額は、いつどのように決まるのですか。
日本年金機構 厚生年金保険料額表
日本年金機構 保険料の計算方法について
全国健康保険協会 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 

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