更新日: 2023.04.08 国民年金
【22歳新卒・月収20万円】学生時代に猶予された保険料は払うべきか? 払うならいつ?
そこで本記事では、学生納付特例制度で猶予された分の取り扱いを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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将来の年金額には反映されない
まずは、学生納付特例制度について確認してみましょう。
学生納付特例制度とは、申請することで在学中の保険料の納付が猶予されるもので、夜間や定時制、通信制の場合も含まれ、実質ほとんどの学生が対象になります。
日本国内に住むすべての人は、20歳になったときから国民年金の被保険者となり加入義務がありますが、収入が少ないことが多い学生にとって毎月1万6000円ほどの負担は大きいです。
それを猶予されて「払わなくてもペナルティーはない状態」になるので、保険料を払うのが難しい場合は、必ず申請することをすすめられます。申請者本人の所得水準が「128万円(令和2年度以前は118万円)+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」であれば対象です。
本人の所得をもとに判断されるので、親等の収入は関係ありません。親が高所得者だから子どもの保険料を負担しなければならないといった決まりもありません。
学生納付特例制度はあくまで保険料の納付を猶予される制度であり、免除されるわけではありません。学生納付特例制度で猶予された期間分については、保険料納付済期間に算入されないため、このままでは将来の年金額が減ってしまいます。
年金の受給資格期間には算入されるので、学生時代に払っていない分があるからという理由だけで、将来年金がもらうことは可能です。
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猶予された保険料は払うべきか?
では、学生時代に猶予された分はあとで払ったほうがいいのでしょうか。
結論からいえば、経済的に余裕があり、年金を払っても生活に問題がなければ払うことをおすすめします。払うことで保険料を満額分、受け取れるようになるからです。本来保険料を払わない状態が続くと、納付期限から2年経過すると時効によって保険料を納めることができなくなります。
ただし、学生納付特例制度を申請して承認された期間については、追納制度を活用することで、10年以内であればさかのぼって納付することができます。
保険料を追納するメリットは、将来の年金額を満額に近づけられるだけではありません。社会保険料控除を使えるので、年末調整や確定申告をすることで所得税や住民税の負担を軽減することができます。
例えば課税所得金額が300万円で、学生時代に猶予された2年分の保険料を追納(約40万円)したとします。その場合は所得税や住民税が約8万円軽減され、実質的に約32万円納めたのと同じ状態になります(所得税率10%、復興特別所得税率2.1%、住民税10%として計算)。
もし、学生時代に2年間猶予された分を払わなかったらどうなるのでしょうか。
保険料を満額払った人が受け取る年金額は2023年(令和5年度)時点で年間79万5000円(月額6万6250円)です。
将来の年金額は令和5年度時点で『79万5000円×{「保険料納付済月数+(全額免除月数×4/8)+(4分の1納付月数×5/8)+(半額納付月数×6/8)+(4分の3納付月数×7/8)」÷(40年×12月)}』で計算されます。
上記に当てはめると「79万5000円×(456月/480月)=75万5250円です。月額では約6万3000円となり、満額の場合と比べると約3000円減少します。
払うならいつ?
追納制度を活用することで、10年以内であればいつでもさかのぼって保険料を納付することができます。
ただし、学生納付特例の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を納める場合は、経過した期間に応じて保険料が加算されます。つまり当時の保険料よりもやや高い金額を払うことになります。
加算されたくない場合は3年以内に納付しましょう。
まとめ
本記事では大学を卒業して会社員生活が始まった人が、学生時代に猶予された保険料を払ったほうがいいのか解説しました。
新卒で月収20万円の場合は、ほかにも家賃や水道光熱費、通信費などの支払いがあり、あまり余裕がないことも多いです。年金を追納して生活が破綻しては本末転倒です。無理のない範囲で検討しましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 Q.保険料を納めなかった期間がありますが、今から納めることができますか。
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部