更新日: 2023.04.09 その他年金
転職先に確定拠出年金制度がない! 前の勤務先のものはどうなるの? 手続きは?
基本的には、転職した際、今まで積み上げてきた企業年金は脱退して一時金で受け取るか、企業年金の通算制度(ポータビリティ制度)を使って、継続運用するかのどちらかになります。
しかしながら、企業年金の1つである企業型確定拠出年金(DC)制度(以下、企業型DC)が転職先にない場合には、通算制度(ポータビリティ制度)を使って持ち越すことができません。
では、どのように対応したらよいか確認してみます。
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
脱退して一時金で受け取る
転職先に企業型DCがない場合の1つの方法として、脱退一時金として受け取る方法があります。
ただし、次の条件に合うことが必要です。
(1)個人別管理資産額が1.5万円以下の場合で、次のすべてに該当する場合
A. 企業型DC加入者、企業型DC運用指図者、iDeCo加入者およびiDeCo運用指図者でないこと
B. 最後に企業型DCの資格を喪失した日の翌月から6ヶ月を経過していないこと
(2)個人別管理資産額が1.5万円を超える場合で、次のすべてに該当する場合
A. 企業型DC加入者、企業型DC運用指図者、iDeCo加入者およびiDeCo運用指図者でないこと
B. 最後に企業型DCの資格を喪失した日の翌月から6ヶ月を経過していないこと
C. 60歳未満であること
D. iDeCoに加入できない者であること
E. 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと
F. 障害給付金の受給権者でないこと
G. 企業型DCの加入者およびiDeCoの加入者として掛け金を拠出した期間が5年以内、または個人別管理資産額が25万円以下であること
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個人型確定拠出年金(iDeCo)へ変更
脱退一時金で受け取る以外には、個人型確定拠出年金[iDeCo(イデコ)]の口座を開設して、企業型DCの資産をiDeCo(イデコ)に移換する方法があります。
運営管理機関(金融機関)は、転職前の会社の企業型DCと同じところでもよいですし、自分で別の金融機関を選んでもかまいません。
金融機関を選択したら、「個人別管理資産移換依頼書」を提出し、手続きを行います。一部の金融機関では、移換手続きをオンラインで行うことができますので、金融機関に確認をしましょう。なお、移換にあたっては、移換のみを行うこともできますし、移換と同時に加入申し込みもできます。
移換のみの場合には、引き続き「企業型確定拠出年金」で運用した個人別管理資産だけを運用することになります。さらに、同時に加入申し込みも行えば、個人別管理資産を引き継いだ上で、掛け金を拠出しながら運用することが可能です。
確定給付企業年金への移換
転職先に企業型DCはないが、確定給付企業年金制度があった場合には、確定給付企業年金制度へ移換できる場合があります。
ただし確定給付企業年金は、「確定拠出年金の個人別管理資産を受け入れることが可能」と定められることが必要である等、一定条件を満たさなければなりません。したがって、移換の可否については、就職(転職)先企業の担当部署に確認をするようにしましょう。
なお、確定給付企業年金への移換ができなかったとしても、個人型確定拠出年金[iDeCo(イデコ)]への移換はできますので、自動移換をされないように注意をしましょう。
移換しなかった場合
転職に伴い、企業型DCの移換手続きを怠り、企業型DCの資格喪失後6ヶ月以内に移換手続きを取らなかった場合には、個人別管理資産については、国民年金基金連合会(特定運営管理機関)へ自動的に移換(自動移換)されてしまいます。
自動移換された場合には、次のデメリットがありますので、早めの手続きをするようにしましょう。
(1)資産の運用ができません
(2)管理手数料(52円/月)が発生します
(3)自動移換中の期間は、老齢給付金の受給要件となる通算加入者等期間に算入されません。この理由から、受給可能年齢が遅くなる可能性があります
以上の点に留意し、ご自身のケースに合わせて手続きを行いましょう。
出典
労働金庫連合会 脱退一時金を受取れるケースとその手続き
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト 個人別管理資産の移換手続きについて
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト 就職(転職)・退職された方へ
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー