更新日: 2023.04.21 厚生年金
【55歳会社員・年収500万円・貯金100万円】5年後に定年退職する予定! 老後は夫婦2人、年金だけでやっていける?
もしこのような相談があったとしたら、実際可能なのでしょうか。結論からいえば「年金だけではやっていけない可能性が高い」と考えられます。それはなぜなのか本記事ではシミュレーションもしながら解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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もらえる年金の種類と計算方法
一般的に65歳からもらえる年金は老齢年金とよばれ、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つに分かれています。老齢基礎年金は国民年金の部分で、年金の受給資格がある人は全員対象です。
その一方で老齢厚生年金は、厚生年金保険に加入していた人が受け取れるものです。自営業者など厚生年金に加入していない人は対象外です。
では今回のケースではどのくらい年金を受け取れるのでしょうか? 話を分かりやすくするために、保険料の免除や未納等の期間はなく保険料納付済期間は丸々40年あるとします。
繰上げや繰下げといって実際は65歳になる前に受け取ったり、65歳になっても受け取らずに遅らせたりすることもできますが、今回は65歳から受け取るものとします。
まず老齢基礎年金は2022年(令和4年)時点で年間77万7800円支給されます。
老齢厚生年金はいくらもらえるのでしょうか。老齢厚生年金は報酬比例部分と経過的加算、加給年金額を合わせた金額が支給されます。
報酬比例部分は2003年(平成15年)3月以前の加入期間と2003年(平成15年)4月以降の加入期間の場合で計算方法が異なります。
2003年(平成15年)3月以前の加入期間の部分は「平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間の月数」で計算され、2003年(平成15年)4月以降の加入期間の部分は「平均標準報酬額×5.481/1000×加入期間の月数」で計算されます。
平均標準報酬月額とは計算の基礎になる各月の標準報酬月額の総額を加入期間で割った金額です。一方で平均標準報酬額は計算の基礎になる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を加入期間で割った金額です。
加入期間の時期によって計算方法が違うので注意しましょう。年金の計算方法は状況によって細かく変化しますが、今回はすべて2003年(平成15年)4月以降の計算方式で統一します。
平均標準報酬額は42万円とすると
●老齢基礎年金:77万7800円
●老齢厚生年金:「42万円×5.481/1000×40年(480月)=110万4970円」
このようになり、もらえる年金額は年間あわせて約188万2700円です。月単位では約15万円です。
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夫婦2人年金だけで生活できる?
先ほどのシミュレーションでは月単位で受け取れる年金は約15万円です。これだけで夫婦2人で生活するのは厳しいです。
総務省統計局の家計調査年報(家計収支編)によると、2021年(令和3年)の65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は月額22万4436円という結果になっています。
年金15万円に対して約22万円の支出なので約7万円の赤字です。現時点で貯金100万円ありますが、これもわずか1年ちょっとで全て使ってしまう計算です。総務省統計局のデータにあるのはあくまで生活費です。冠婚葬祭や旅行、自宅のリフォーム、家族の介護など想定外の出費は含まれていません。
そのため収入が変わらない場合はさらに赤字額が膨らむことも考えられます。
まとめ
今回は55歳会社員・年収500万円・貯金100万円で5年後に定年退職する予定の人が、老後は年金だけで生活できるのか解説しました。
もはやどれだけ貯金があったとしても年金だけで悠々自適に生活できる時代ではなくなったといっても過言ではありません。年金を過信するのではなく、定年後もできる限り長く働くなど、年金に依存しない仕組みづくりが欠かせません。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー