ねんきん定期便を捨ててしまった! 再発行はできるの? 誤りがあったときはどうする?
配信日: 2023.04.27
年金記録等の修正に必要な手続きも併せて解説します。
執筆者:篠原まなみ(しのはら まなみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士
外資系証券会社、銀行で20年以上勤務。現在は、日本人、外国人を対象とした起業家支援。
自身の親の介護、相続の経験を生かして分かりやすくアドバイスをしていきたいと思っています。
ねんきん定期便とは
国民年金や厚生年金保険に加入していると、毎年の誕生月に「ねんきん定期便」が郵便で送られてきます。ただし、1日生まれの人には、誕生日の前月に送られてきます。
「ねんきん定期便」の形状は2種類あり、35歳、45歳、59歳の人にはA4サイズの封書で、それ以外の年齢の人には圧着式はがきで送られてきます。
圧着式はがきでは、直近1年間の加入状況のみが記載されていますが、封書の「ねんきん定期便」には、全期間の加入状況が記載されており、さらに詳しい履歴が確認可能です。
50歳未満の人と50歳以上の人に送られる「ねんきん定期便」は、記載事項が若干異なります。50歳未満の人に送られる「ねんきん定期便」の記載事項は、次のとおりです。
(1)これまでの年金加入期間
(2)これまでの加入実績に応じた年金額
(3)これまでの保険料納付額(厚生年金保険の保険料は、被保険者負担分のみ表示されています)
(4)最近の月別状況
これらに加えて節目年齢となる35歳、45歳の人に届けられる封書の「ねんきん定期便」には、次の情報も記載をされています。
・これまでの年金加入履歴
・これまでの厚生年金保険における標準報酬月額などの月別状況
・これまでの国民年金保険料の納付状況
一方、50歳以上の人に送られる「ねんきん定期便」では、(2)の部分が、老齢年金の年金見込み額(すでに老齢年金を受給している人の「ねんきん定期便」には記載されていません)が記載されています。
50歳以上の人に送られる「ねんきん定期便」では、受取開始年齢(65歳、70歳、75歳)の違いによる年金額の変化についても記されていますので、将来の受取額を具体的にイメージすることが可能になります。
60歳未満の人は、「現時点の加入実績が60歳まで続いた場合」と仮定したものであり、あくまでも目安ということにはなりますが、60~64歳の人は、そのねんきん定期便が作成された時点での加入実績から算出されていますので、将来年金をいくら受け取れるかを、より具体的にイメージできるのではないでしょうか(※1)。
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「ねんきん定期便」を捨ててしまったら
「ねんきん定期便」を汚損、き損、紛失した場合は、再発行が可能です。「ねんきん定期便・ねんきんネット専用番号」に電話をすれば、最新の情報(年金加入記録)を基に作成をした「ねんきん定期便」を送ってもらえますが、手元に届くまで2ヶ月ほど要します(※2)。
「ねんきん定期便」には、紙のほか、電子版「ねんきん定期便」があります。「ねんきんネット」に登録をしておけば、いつでも電子版(PDF)で年金記録を確認できます。
また、電子版「ねんきん定期版」はダウンロードができるため、年金記録の管理・保存に便利です。誕生日の前々月に内容の確認もできます(※3)。
ねんきん記録に誤りがあったら
「ねんきん定期便」が届いたら、入念に確認をすることが大切です。特に節目の年(35歳、45歳、59歳)には封書で届き、全期間の加入状況が記載されているので、加入履歴の欄を見て空いている時期がないか、厚生年金保険の標準報酬月額が大幅に異なっていないかを確認することが重要です。
年金記録等を確認する際は、ねんきん定期便に同封された見方ガイドにある「記録確認のチェックポイント」を参考にしながら行うとよいでしょう。
記録のもれや誤りの原因として、「退職後、結婚して姓が変わった」「いろいろな名前の読み方がある」「転職のたびに年金手帳が発行された」が多くを占めていますので、該当の人は特に注意をして確認をしましょう。
もれや誤りをそのままにしておくと、将来受け取れる年金額が減少する可能性があります。もし加入記録からもれている期間や内容の誤りが見つかったら、巻末の年金加入記録回答票に記入をして、同封の返信用封筒で返送するか、近くの年金事務所に提出して、日本年金機構に調査・確認を依頼しましょう。
なお、調査・確認の結果には相当の時間がかかります(※4)。
まとめ
「ねんきん定期便」は国民年金法に基づき、平成21年4月から定期的な送付が始まりました。ねんきん定期便を送付するようになった契機として、「年金記録問題」が挙げられます。
「年金記録問題」とは、平成19年、年金手帳などに記載されている基礎年金番号に統合されていない記録(持ち主不明の年金記録)約5059万件の存在が明らかになったというものです。「年金記録問題」の主な原因として、基礎年金番号導入時に記録の統合ができず、年金番号に結びつかない古い記録が残っていたということでした。
「ねんきん定期便」は、この「年金記録問題」に対する取り組みの一環として位置付けられており、加入者が自身の年金記録を自分で確認することで、正確な年金記録の回復を目指しています(※5)。
「ねんきん定期便」が送られてきたら確認をする習慣を持ちましょう。
なお、「ねんきん定期便」は、「ねんきんネット」で郵送停止の意向を登録しない限り、毎年郵送されるものです。万が一郵送されてこない場合は、登録住所に誤りがある可能性がありますので、年金事務所、または「ねんきん定期便・ねんきんネット専用番号」に問い合わせをしてください。
出典
(※1)日本年金機構 「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和5年度送付分)
(※2)日本年金機構 Q「ねんきん定期便」を汚損、き損、紛失したのですが、再発行はできますか。
(※3)日本年金機構 「ねんきんネット」による電子版「ねんきん定期便」
(※4)日本年金機構 年金加入記録に「もれ」や「誤り」があった場合
(※5)日本年金機構 年金記録問題とは?
執筆者:篠原まなみ
AFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者