更新日: 2023.05.02 厚生年金

年金をもらう際に「加給年金」があると聞きました。年金が少ないので受け取りたいのですが、誰でももらえるんですか?

執筆者 : 古田靖昭

年金をもらう際に「加給年金」があると聞きました。年金が少ないので受け取りたいのですが、誰でももらえるんですか?
「加給年金」と聞くと、年金にプラスしてもらえるもので、誰でももらえるのではないかと思う人が多いのではないでしょうか?
 
加給年金は、厚生年金に加入している人が65歳から年金給付を受けた場合に、上乗せして給付されます。しかし誰でも給付を受けられるわけではなく、条件があります。
 
本記事では、厚生年金に上乗せされる加給年金について解説します。
古田靖昭

執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)

二級ファイナンシャルプランニング技能士

加給年金とは

加給年金は、厚生年金保険の加入期間が20年以上ある人などが、65歳または定額部分支給開始年齢に達した時点で、65歳未満の配偶者や、18歳未満の子ども(1級・2級の障害状態にある20歳未満の子ども)がいる場合に加算されて支給されます。
 
配偶者や子どもは年金を受給する人に「生計を維持されている」ことが条件となります。生計維持は、「同居していること」や「別居していても仕送りをしている」「健康保険の扶養親族である」といったことであれば認められます。ただし収入要件があり、配偶者または子どもの前年の収入が850万円未満、または所得が655万5000円未満でなければなりません。
 
なお加給年金は厚生年金の制度となるため、国民年金のみの加入者は対象外となります。
 

加給年金の受給額

加給年金の受給額は図表1のとおりです。
 
図表1

対象者 加給年金額
配偶者 22万8700円
2人目までの子ども 1人あたり22万8700円
3人目以降の子ども 1人あたり7万6200円

日本年金機構 加給年金額と振替加算 より筆者作成
 
配偶者には図表1の加給年金額に加えて、老齢厚生年金を受けている人の生年月日に応じて特別加算があります。2023年4月からの特別加算額は図表2のとおりです。
 
図表2

老齢厚生年金の受給権者の生年月日 特別加算額 加給年金額の合計額
1934年4月2日から1940年4月1日 3万3800円 26万2500円
1940年4月2日から1941年4月1日 6万7500円 29万6200円
1941年4月2日から1942年4月1日 10万1300円 33万円
1942年4月2日から1943年4月1日 13万5000円 36万3700円
1943年4月2日以後 16万8800円 39万7500円

日本年金機構 加給年金額と振替加算 より筆者作成
 

加給年金を受給する際の注意点

加給年金は、対象になっている配偶者が老齢厚生年金や、旧厚生年金保険法・旧船員保険法の老齢年金、各種共済組合などの退職共済年金、退職年金を受け取る権利が発生した場合に受給停止となります。また障害厚生年金や、障害基礎年金、障害共済年金などを受けられるようになった場合も同様に支払いが受けられなくなります。
 
なお老齢や退職を事由とする年金は、加入期間が20年以上あるものに限られています。
 

加給年金は誰でももらえるわけではない

加給年金は、厚生年金に20年以上加入していることに加えて、配偶者が65歳未満であることや、子どもが18歳未満などである必要があるため誰でも受給できるわけではありません。
 
また加給年金を受給するには、申請する必要があるため、受給条件を満たしている場合であれば、早めに申請することをおすすめします。もし加給年金の受給に際して、不明点などがあれば、あらかじめねんきんダイヤルや、最寄りの年金事務所などに相談するとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 加給年金額と振替加算
日本年金機構 老齢厚生年金を受けている方の配偶者が公的年金等を受けることになったとき
 
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士

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