更新日: 2023.05.02 国民年金
会社で突然の「リストラ」。年金保険料が払えないので払わなくていいですよね?
日本は「国民皆年金制度」を採用しているため、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人は国民年金に加入する必要があります。そのため会社でリストラによって失業したとしても保険料を納付する義務がなくなることはありません。
しかし会社のリストラなどによって経済的に保険料の納付が困難な場合には、保険料の免除制度や納付猶予制度、失業等による特例免除を利用できます。
本記事では、リストラなどによる保険料の免除制度や納付猶予制度について解説します。
執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)
二級ファイナンシャルプランニング技能士
保険料を滞納するデメリット
会社を退職して次の再就職先が決まっており、再就職までの期間が1日も空くことがなければ、手続きの必要はありません。しかし1日以上空く場合、国民年金への切り替え手続きが必要です。
会社員や公務員として働いている場合、厚生年金に加入しているため、国民年金第2号被保険者となり、また扶養している配偶者がいれば配偶者は第3号被保険者です。しかし退職することで、どちらも国民年金第1号被保険者になることから手続きが必要となります。
もし切り替え手続きを忘れたり、リストラによって保険料を払えないからと手続きをしなかったりした場合、65歳以降に受け取れる年金が少なくなるか、または受給資格期間である10年に満たなければ、年金自体を受給できなくなってしまいます。
また保険料を滞納したままにすると、延滞金が発生したり財産を差し押さえられたりすることもあるため、必ず手続きをするようにしましょう。
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保険料の免除制度と納付猶予制度
会社のリストラなどによる失業や、収入が減少することで保険料の納付が経済的に困難な場合、申請することで保険料免除制度や納付猶予制度を利用できることがあります。制度を利用することで、受給資格期間に算入されます。
なお保険料免除制度や納付猶予制度を利用した人は、保険料の追納制度を利用でき、追納が承認された月の前10年以内の期間について保険料を納付することが可能です。
保険料免除制度
免除制度は、本人や世帯主、配偶者の前年所得または1月から6月までの申請であれば前々年所得が一定額以下の場合などで保険料を納めることが経済的に困難という理由であれば、本人が申請して承認されることで保険料の納付が免除となります。なお免除される金額は、「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」のいずれかになります。
保険料納付猶予制度
納付猶予制度は、20歳から50歳未満の人で、本人や配偶者の前年所得または1月から6月までの申請であれば前々年所得が一定額以下の場合や、学生であれば、本人が申請して承認されれば、保険料の納付が猶予されます。
失業等による特例免除
保険料の免除制度や納付猶予制度は、失業や倒産、事業の廃止などした場合も申請でき、認められることで免除または納付が猶予されます。これを「失業等による特例免除」といいます。申請するには、雇用保険受給資格者証、雇用保険受給資格通知または雇用保険被保険者離職票のコピーが必要です。
なお過去に同じ失業や倒産、事業の廃止などの理由で免除などを申請した場合であれば、あらためて書類を提出する必要はありません。
リストラは手続きすることで保険料免除の可能性も
会社でリストラにあった場合、保険料を納付したくても納付は難しくなります。保険料の納付が難しいからといって、そのままにしていれば、65歳から受け取れる年金が少なくなるだけではなく、10年の受給資格期間が満たされなければ年金を受け取れないこともあります。
リストラから再就職までの期間に厚生年金から国民年金への切り替え手続きを行い、保険料の納付が困難であれば、保険料免除制度や納付猶予制度を利用することで、その期間の保険料の納付がなくなるか、負担が少なくなります。なお免除制度で納付しなかった期間は、受給資格期間に含まれるため、将来年金が受け取れなくなるリスクが減ります。
リストラによって保険料を納付することが難しければ、保険料免除制度や納付猶予制度を申請することをおすすめします。
出典
日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 会社を退職した時の国民年金の手続き
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士