更新日: 2023.05.20 その他年金

もしも年金の納付期間が延長されたら? 保険料免除制度の活用を考えよう

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

もしも年金の納付期間が延長されたら? 保険料免除制度の活用を考えよう
2022年10月25日に開催された第1回社会保障審議会年金部会にて、国民年金の納付期間を40年から45年間に延長することを検討すると示されました。決定事項ではないものの、施行されれば早期退職する方や自営業・フリーランスの方は、保険料が負担になってしまうかもしれません。
 
本記事では、納付期間が延長され保険料が負担になった場合の対策の一つとして、保険料免除制度を紹介します。
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老齢年金と少子高齢化の関係

年金は加入者の老後保障として給付され、原則65歳に支給が始まり生涯にわたって受け取ることができます。受給には、保険料納付期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上必要です。
 

少子高齢社会との関係

年金制度は高齢者の年金給付に必要な費用を、現役世代が納めた保険料で賄う「賦課方式」をとっていることから、年金給付は現役世代によって支えられているといってよいでしょう。そのため、年金制度と少子高齢化は密接に関係しています。
 
近年、出生率は低下し内閣府の調査では2020年に過去最少となっていますが、平均寿命は延びています。厚生労働省による簡易生命表の概況より平均寿命の推移をみても(図表1)、令和3年は新型コロナウイルスが平均寿命を縮める方向に働いているとのことですが、令和2年まで平均寿命は高くなっています。
 
これらのことから、寿命が延び、年金を受け取る人が増えるにもかかわらず、少子化で保険料を支払ってくれる人が少なくなるので、保険料納付期間を延長することで財源を確保する可能性はあるかもしれません。
 
【図表1】平均寿命の年次推移


 
出典:厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況
 

保険料免除制度

経済的な理由で保険料を納められない場合、保険料免除制度があります。免除になった場合、令和6年3月までの免除額と保険料は以下のとおりです。

・全額免除:免除額1万6520円、保険料0円
・4分の3免除:免除額1万2390円、保険料4130円
・半額免除:免除額8260円、保険料8260円
・4分の1免除:免除額4130円、保険料1万2390円

免除を受けた期間は、前述した受給資格期間に含まれます。
 

申請方法

国民年金保険料免除・猶予申請書を、お住まいの市町村の市役所や役場の国民年金担当窓口、もしくは近隣の年金事務所に提出、または郵送します。申請書は各窓口や日本年金機構ホームページにあります。
 
また、マイナポータルで電子申請も可能ですので、案内に従い入力して申請を行ってください。
 

注意点

保険料免除を申請した場合は、免除金額と期間に応じ、将来受け取れる年金額が全額納付したときと比べて低額になります。その点は十分注意してください。
 
また、免除申請をせずに保険料を納めないままでいると、将来的に老齢基礎年金を受けられない場合や、障がいや死亡などが発生しても、障害基礎年金や遺族基礎年金が受けられない場合があります。
 

まとめ

ここまで、保険料免除制度について紹介しました。高齢社会となっている日本において、国民年金の納付期間を40年から45年間に延長は、年金制度を維持するためにも必要な改正かもしれません。その一方で、定年も65歳までに引き上げになる企業も多くなっており、もしかすると保険料の支払いには困らないかもしれません。
 
しかし、早期退職した方や自営業・フリーランスの方には負担になる場合もあると思います。今後さらに年金制度の見直し改正があるかもしれないので、動向を見守っていくことが大切になるでしょう。
 

出典

日本年金機構 老齢年金ガイド 令和5年度版
内閣府 令和3年度 少子化の状況及び少子化への対処施策の概況(令和4年版 少子化社会対策白書)
厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況
日本年金機構 知っていますか? 国民年金保険料の免除制度
厚生労働省 令和5年度の年金額改定についてお知らせします
日本年金機構 電子申請(マイナポータル)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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