更新日: 2023.05.23 国民年金

年金の未払いにしていると、いったい何が起こるの?

年金の未払いにしていると、いったい何が起こるの?
国民年金を払っていないと、どのようなことが起こるのでしょうか。「将来、年金がもらえないかもしれないから払いたくない」などと安易に未払いを選択すると、さまざまなことが待ち受けています。
佐々木達憲

執筆者:佐々木達憲(ささき たつのり)

京都市役所前法律事務所弁護士

相続・事業承継を中心とした企業支援と交通事故が主要対応領域。弁護士としての法律相談への対応だけでなく、個人投資家兼FPとして、特に米国株投資を中心とした資産運用に関するアドバイスもご提供。京都を中心する関西圏に加え、毎月沖縄へも通っており、沖縄特有の案件も数多く手掛けている。

弁護士としての目線から~とっても怖い差押え~

ファイナンシャルプランナーとしての観点の前に、まずは弁護士としての観点から申しますと、国民年金の未払いが続くと、最終的には国から財産の差押えがされる可能性があります。その人が持っている預貯金や不動産、車等の財産、あるいは月々支払われる給料が、強制的に差押えられます。
 
もちろん、未払いがあったからといって直ちに差押えが実行されるものではなく、幾度となく催告の手続きを踏まえることにはなりますが、国民年金については未払いとなっている本人だけではなく、世帯主や配偶者も連帯義務を負い、財産を差押えられる対象者ともなりますから(国民年金法第88条)、くれぐれも注意が必要です。
 

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将来受け取る年金への影響

次にファイナンシャルプランナーとしての目線からです。
 
国民年金保険料を支払わなければ、当然、将来受け取る年金には影響が生じます。「あえて支払わない」という人であってもこれは予測済みかもしれませんね。
 
具体的には、現行制度上保険料の支払期間とされている20歳から60歳までの間の期間のうち、未払い期間があれば満額の受給がなされないことになり、未払いの期間に応じて受給額が減らされます。また、加入期間つまり支払っている期間が10年間に満たない人は、年金額はゼロ円となり、1円ももらうことができません。
 
「将来、年金がもらえないかもしれないから払いたくない」という考えの人はそれで構わないと思っているのかもしれませんが、まず、年金がもらえなくなるという事態の発生は、日本国が存続している限り、仕組み上ありえません。保険料を納める年齢層の人口がどんなに先細りしたとしても、その数がゼロにならない限り、年金の資源が枯渇してゼロになることはありえないのです。
 
加えて、毎月1万6250円の保険料(令和4年5月現在)を20~60歳までの40年間支払うことで、65~70歳頃から毎月5~6万円以上の年金が一生涯受け取れるというのは、実はものすごく恵まれた制度設計となっています。これは民間の保険会社では到底作ることができない、優れた商品といえます。
 
ですから、「将来、年金がもらえないかもしれないから払いたくない」というのは、およそ考えられない事態の発生を勝手に想像して、とても運用効率の良い商品をドブに捨ててしまっているという、極めてもったいないことなのです。
 

意外と知られていない年金制度の誤解 ~「歳をとったら受給されるもの」ではない~

年金とは「将来歳をとったらもらえるものだ」という認識でいる方がいらっしゃるように見受けられます。それはそれで間違いではないのですが、それはあくまで、年金の1つの側面に過ぎません。
 
年金とは、将来歳をとったら支給される、いわゆる「老齢年金」の他に、一定の障害状態となった場合の生活保障として支給される「障害年金」や、遺族の生活を保障するための「遺族年金」という側面も存在するのです。障害年金や遺族年金というものの存在自体、ご存じでない方も意外といらっしゃいます。
 
年金の保険料を払わなかったら、こうした障害年金や遺族年金の受給対象となれないこともありえます。年金にはそうした面もあることを、しっかりと知っておきましょう。
 

節税にもなる保険料の納付 ~未払いではなく、納付の猶予と追納を~

以上で述べてきたように、「将来、年金がもらえないかもしれないから払いたくない」という理由で未払いをすることは、弁護士としても、ファイナンシャルプランナーとしても、避けるべきと考えられます。
 
保険料の支払いが経済的に厳しい場合は、筆者が別記事で執筆したように、納付の猶予と追納の特例をご活用ください。人によっては、節税にもなります。それでもどうしても支払いが難しい場合は、経済的条件によっては免除という制度もありますので、何もせずにただ未払いとなるのではなく、存在する制度をフルに活用することを推奨します。
 
執筆者:佐々木達憲
京都市役所前法律事務所弁護士

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