更新日: 2023.05.24 その他年金

「60歳」VS「65歳」年金の「元を取る」のはどっちが早い?

「60歳」VS「65歳」年金の「元を取る」のはどっちが早い?
年金をいつから受け取るのかというのは非常に悩ましい問題です。受給開始年齢を遅らせれば受給額は上がりますが、あまり長く待っていると寿命が尽きてしまう可能性があります。そうなると、元が取れなくなるケースも出てくるでしょう。
 
本記事では、国民年金と厚生年金の保険料の合計額を確認し、受給開始時期を60歳、および65歳に設定したときのそれぞれのケースでの受給額を比較してみます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

公的年金制度の仕組み

日本の年金制度は、国民全員が加入する国民年金と、会社員などが加入する厚生年金から成り立っています。国民年金は、全ての国民が保障される最低限の生活を支えるためのもので、20歳から60歳までの40年間、保険料を支払います。
 
一方、厚生年金は、国民年金に加えて加入する制度で、会社員などの給与所得者や公務員などが対象です。国民年金とは異なり、厚生年金の保険料や受給額は所得に応じて変わります。
 
なお、厚生年金を受け取る人は、基礎年金(国民年金)と厚生年金の両方を受け取ることになります。これら2つの制度が組み合わさることで、年金制度は所得差を考慮しながら、全国民の生活を支える役割を果たしています。
 

【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資

【PR】J.P.Returns

おすすめポイント

・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる

国民年金と厚生年金の保険料の合計額

まずは、国民年金と厚生年金の保険料について考えます。国民年金の月額保険料は1万6540円(令和5年度)が基本です。厚生年金の保険料は所得により異なりますが、この試算では平均的なサラリーマンの月収約35万円の場合の保険料額として月額6万円(総額)を仮定しましょう。これらの保険料を一生涯にわたって支払うと、その合計額はどのくらいになるのでしょうか。
 
それぞれの支払期間については、国民年金は20歳から60歳までの40年間、また、厚生年金は4年制大学を卒業して就職するとして、22歳から60歳までの38年間とします。その結果、国民年金の合計額は793万9200円、厚生年金の合計額は2736万円となります。
 

「繰上げ受給」で元は取れるのか?

続いて、「繰上げ受給」について理解しておきましょう。これは年金を通常受給が開始される65歳より早く受け取る制度で、受給額は繰り上げる月数に応じて減少します。
 
なお、ひと月あたりの減額率は生年月日が昭和37年4月1日以前の場合0.5%、4月2日以降の場合0.4%です。前者の場合の減額率は最大で30%になります。では、「繰上げ受給」を選んだ場合と65歳から受け取った場合、どちらが先に元を取れるのでしょうか。
 

・65歳から受け取るケース

繰上げせずに通常の支給開始年齢を選んだ場合です。厚生労働省が発表している「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金の月平均受給額は、国民年金が約5万6000円、厚生年金が約14万6000円となっています。
 
例えば、この平均的な厚生年金受給者の年間受給額を約175万円として試算すると、65歳から受け取った場合、約15.5年で2700万円を超えるので、支払った保険料分を取り戻すことが可能です。
 

・60歳から「繰上げ受給」を選んだケース

この場合は、受給額が65歳で想定した175万円から約30%削減され、年間約122万5000円となります。そうなると、単純に計算して支給開始から22.5年目で2700万円を超え、支払った分を取り戻したといえるでしょう。
 

受給開始時期は自身のライフスタイルやニーズに合わせて決めましょう

以上の分析から、60歳で年金を受け取る「繰上げ受給」と65歳から通常通り受け取るケースとでは、保険料の元を取るための期間は65歳から受け取る方が約7年間早いことが明らかになりました。
 
しかし、これは一例であり、個々の所得や雇用状況、世帯状況などによって大きく異なります。年金受給開始時期の決定は一生を左右する重要な選択ですから、自身のライフスタイルやニーズに合わせて、専門的なアドバイスも参考にしながら慎重に決めましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料

日本年金機構 年金の繰上げ受給

日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集