年金は健康寿命も考えると「60歳」で受け取ったほうが「得」? 受給額を検証
配信日: 2023.06.15
本記事では、健康寿命を基準としてみた際に、年金をどのタイミングで受け取り始めるのがよいのか解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
年金の繰上げ・繰下げ受給の概要
65歳なった時点での年金受給額に対し、年金の繰上げ受給では、1ヶ月繰り上げる度に0.4%が減額され、繰下げ受給では、1ヶ月繰り下げる度に0.7%が加算される仕組みです。
そのため、60歳0ヶ月から受け取り始めると、0.4%×60ヶ月=24.0%が減額され、70歳0ヶ月から受け取り始めると、0.7%×60ヶ月=42.0%が増額されます。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
年金の損得を考える際には平均余命をよく使用する
「生涯で最も年金を多く受け取れる年金受給開始のタイミング」を考える際には、平均余命がよくシミュレーションに使われ、基本的には繰下げ受給のほうが生涯受け取る年金額は多くなります。
例えば、65歳で年金を受け取り始めると年間300万円もらえる男性がいるとします。65歳男性の平均余命は約20年なので、生涯で約6000万円受け取れる計算です。
そして、仮に70歳で受け取り始めると、300万円に42%が加算され、年間で426万円受け取れます。70歳男性の平均余命は約16年ですので、生涯では約6816万円受け取れます。
このように、平均余命で見ると65歳よりも70歳から受け取り始めたほうが、生涯で受け取れる年金は多くなる見込みです。
健康寿命を基準とするといくら受け取れるのか
ここまでの話は決して間違いではありませんが、年金の受給開始時期を決める際には、健康寿命についても考えたほうがよいでしょう。「健康寿命」とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことです。厚生労働省によると、男性の健康寿命は平均で約72歳です。
健康寿命までにいくら受け取れるのかをシミュレーションしてみましょう。
先ほどの例と同じく、65歳で年金を受け取り始めると年間300万円もらえる男性が60歳から受け取り始めると、300万円から24%が減額され、年間で228万円受け取れます。健康寿命の72歳までは12年間ありますので、それまでに受け取れる年金額は2736万円です。
同じように計算すると、65歳で受け取ると72歳までに2100万円、70歳で受け取ると72歳までに852万円が受け取れます。
このように、健康寿命で見ると、60歳で繰上げ受給したほうが、65歳、70歳で受け取るよりもトータルで多くの年金額が受け取れることが分かります。
健康寿命を考慮して元気なうちに受け取る選択肢もあり
健康なうちに多くの年金を受け取るのがいいのか、健康寿命以降の介護や看護を見越して平均余命を基準として受け取り始める時期を決めるのがいいのか、判断に迷うところです。
また、平均余命も健康寿命もあくまでも平均なので、自分に当てはまるとは限りません。今回は60歳、65歳、70歳のみ抽出しましたが、その中間の選択肢もあります。万人に共通する答えはありませんが、いつから年金を受け取り始めるかを検討する際には、平均余命だけでなく、健康寿命も重要な要素だと言えるでしょう。
出典
厚生労働省 令和2年版 厚生労働白書 図表1-2-6 平均寿命と健康寿命の推移
厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー