更新日: 2023.06.22 国民年金

65歳になったのに年金をもらえない? 今からできる対策法はある?

執筆者 : 堀江佳久

65歳になったのに年金をもらえない? 今からできる対策法はある?
65歳になったら年金をもらえるはずですが、実は、条件を満たさないと受給できないことがあります。
 
今回は、どのような条件を満たさないと年金をもらえないのか、そして年金をもらえなかった場合の対策について解説していきます。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

年金をもらえる条件

(1)年金を受給するためには

年金を受け取るためには、保険料を納めた期間や加入者であった期間などの合計、すなわち年金を受け取るために必要な受給資格期間が10年以上あることが条件です。これは国民年金だけでなく、厚生年金や共済加入期間もすべて含まれます。
 
具体的には、以下の3つの期間の合計が10年以上あれば年金を受給できます。

1. 年金保険料を支払った期間
2. 年金保険料が免除・猶予された期間
3. 合算対象期間

 

(2)年金保険料が免除・猶予期間とは?

1. 保険料免除制度
所得が少なく、国民年金保険料の納付が経済的に困難な場合は、申請をして承認されると保険料の納付が免除になります。この免除されている期間を合算できます。なお、免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類がありますが、免除された額に応じて、もらえる年金額も減ってきますので注意が必要です。
 
2. 保険料納付猶予制度
20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年の所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定の額以下の場合、申請し承認されると保険料の納付が猶予されます。この猶予期間も受給資格としてカウントされますが、納付していない分の年金額は減少します。
 
3. 学生納付特例制度
上記制度同様に経済的な理由から国民年金保険料を支払えない学生は、申請により承認されれば、在学中の保険料の納付が猶予されます。なお、家族の所得の多寡は問われません。また、保険料納付猶予制度同様、その分将来もらえる年金額は減少します。
 

(3)合算対象期間とは?

上記以外に、年金額には反映されず、受給資格期間として認められる期間を合算対象期間と呼ばれます。対象となる主な期間は下記のとおりですが、他にも対象となる期間がさまざまありますので、詳しくはお近くの年金事務所に確認をしてください。

(合算対象期間の一例)

・昭和61年3月31日以前に厚生年金保険、船員保険および共済組合の加入者の配偶者であった期間
・昭和36年4月1日から平成3年3月31日までの学生(夜間や通信制は除き、年金法上に規定された各種学校を含む)の期間
・日本人であって外国に在住していた期間
・国民年金に任意加入したけれども保険料が未納となっている期間

 

年金をもらえない場合の対策

65歳になっても受給資格期間が10年に満たない人は、以下の方法によって、10年になるまで保険料を納めれば年金を受給できますので、あきらめずに対策をしましょう。
 

(1)任意加入制度

60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たさない場合や、納付済みの期間が40年ないため老齢基礎年金を満額で受給できない場合などにおいて、その方が年金額の増額を希望する時には、60歳以降でも国民年金に任意加入することが可能です。
 
なお、この制度は、厚生年金保険、共済組合等加入者は対象とはなりません。
 

(2)高齢任意加入

年金の受給資格を満たしていない方で、70歳を過ぎても企業に勤務している場合には、年金を受けられる加入期間を満たすまで厚生年金保険に加入できます。
 
ただし、次の条件を満たす必要があります。

1. 厚生年金保険の被保険者となることについて、事業主の同意を得ている
2. 厚生年金保険の加入について、厚生労働大臣が認可すること

なお、この制度を希望する場合には、「高齢任意加入被保険者資格取得申出書」を提出する必要があります。
 
以上のように、年金は誰でも必ず満額をもらえるものではありません。ご自身の加入状況を確認しておきましょう。
 

出典

国民年金機構 受給資格期間
国民年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
国民年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
国民年金機構 合算対象期間
国民年金機構 任意加入制度
国民年金機構 70歳以上の方が厚生年金保険に加入するとき(高齢任意加入)の手続き
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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