更新日: 2023.06.27 厚生年金

厚生年金保険料を払い続けた人は注目! 加給年金と振替加算の対象者と受給額は?

厚生年金保険料を払い続けた人は注目! 加給年金と振替加算の対象者と受給額は?
老後の生活に欠かせない厚生年金保険や国民年金保険は、年代を問わず多くの人が関心をよせているのではないでしょうか。
 
老齢厚生年金や老齢基礎年金などはある程度把握していても、厚生年金保険の被保険者に加算される加給年金や振替加算などは意外と知られていないものです。そこで本記事では、「加給年金」と「振替加算」の仕組みや受給要件などを詳しくご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

加給年金とは?

「加給年金」とは、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方が65歳になったときに、その人に生計を維持されている配偶者や子がいる場合に加算される年金のことを指します。
 
厚生年金保険の被保険者が退職した後は、配偶者が65歳になって年金の受給ができるようになるまでは、一人の年金が生活資金の大きな割合を占めるでしょう。被保険者が働いて給与をもらっているときよりも、収入が減ったことで生活が苦しくなる可能性もあります。
 
その点、加給年金があれば、配偶者が年金を受給できるまでの間の生活費の補てんができるでしょう。加給年金は、厚生年金保険に加入していた人だけがもらえます。自営業者などが加入する国民年金保険では加給年金はありません。
 

加給年金の受給要件

加給年金を受給する要件は、次のとおりです。
 

●厚生年金保険の被保険者の期間が20年以上
●被保険者が65歳で老齢厚生年金の受給を開始する
●被保険者の65歳到達時に、生計を維持されている65歳未満の配偶者、18歳到達年度の末日(3月31日)までの間の子、または1・2級の障害の状態にある20歳未満の子がいる

 
配偶者や子の条件によって加給年金額は変わります。2023年6月現在、条件別の加給年金額は図表1のとおりです。
 
【図表1】
 

対象者 加給年金の年額 条件
配偶者 22万8700円 65歳未満
1人目・2人目の子 各22万8700円 18歳到達年度の末日までの間の子
または1・2級の障害の状態にある20歳未満の子
3人目以降の子 各7万6200円 18歳到達年度の末日までの間の子
1・2級の障害の状態にある20歳未満の子

 
日本年金機構「加給年金額と振替加算」より引用
 
また、1943年4月2日以後に生まれた配偶者がいる場合、加給年金に16万8800円が特別加算されます。
 

生計維持の条件

上述のとおり、加給年金を受給するためには、厚生年金保険の被保険者に生計を維持されていることが必要です。具体的には、配偶者や子が次のような条件をすべて満たしていなければなりません。
 

●同居して生計を同じくしていること(別居している場合は、仕送りをしている、健康保険の扶養親族であるなどの要件を満たすこと)
●前年の収入が850万円未満あるいは所得が655万5000円未満であること

 
配偶者に収入がある場合や子が自立して別生計になっている場合は、加給年金を受け取れなくなりますので、注意しましょう。
 

2022年4月以降の措置

2022年4月以降、年金制度が改正され、配偶者が老齢厚生年金を実際に受け取っていなくても受給要件を満たす場合、加算年金は全額支給停止になりました。ただし、2022年3月時点で次の要件をすべて満たすことで、2022年4月以降も加給年金は支給される措置がとられています。
 

●2022年3月時点で、本人の老齢厚生年金あるいは障害厚生年金に加給年金がすでに支給されている
●2022年3月時点で、加給年金額の対象者である配偶者が厚生年金被保険者としての期間が240ヶ月以上ある老齢厚生年金などを受給する権利をもっており、全額が支給停止されている

 
老齢厚生年金などの受給の権利があるものの全額支給停止になっているのは、妻が在職中などの理由があげられます。
 

【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資

【PR】J.P.Returns

おすすめポイント

・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる

振替加算とは?

厚生年金保険の被保険者である夫(妻)が65歳になり、老齢厚生年金の受給を開始するときに、夫(妻)に生計維持されている65歳未満の配偶者がいる場合、加給年金が加算されます。そのとき、配偶者が65歳になって老齢基礎年金の受給を開始した場合、一定の基準により配偶者の年金に加算されるようになります。これを「振替加算」といいます。
 
加給年金は、配偶者や子が対象の年齢に達すると支給が停止されますが、振替加算は諸条件があるものの、生涯受け取れる点が大きな特徴です。
 

振替加算の対象

振替加算を受給するためには、配偶者に対して次のような条件が設けられています。
 

●1926年4月2日から1966年4月1日までに生まれている
●妻(夫)が老齢基礎年金のほかに老齢厚生年金や退職共済年金などを受給している場合は、厚生年金保険および共済組合などの加入期間の合計が240ヶ月未満である
●妻(夫)の厚生年金保険の35歳以降(夫の場合は40歳以降)の加入期間(共済組合などの加入期間を除く)が図表2未満である

 
【図表2】
 

生年月日 厚生年金保険の加入期間
1947年4月1日以前 180ヶ月(15年)
1947年4月2日から1948年4月1日 192ヶ月(16年)
1948年4月2日から1949年4月1日 204ヶ月(17年)
1949年4月2日から1950年4月1日 216ヶ月(18年)
1950年4月2日から1951年4月1日 228ヶ月(19年)

 
日本年金機構「加給年金額と振替加算」より引用
 

振替加算の金額

振替加算は、1926年4月2日から1966年4月1日に生まれた配偶者が対象ですが、生まれた年によって金額が変わります。生年月日が1927年4月1日までの人は振替加算の年額は22万8100円で、以降年が若くなるごとに金額が減ります。1966年4月2日以降に生まれた人は、振替加算額はゼロです。
 

加給年金と振替加算は厚生年金の特権! 忘れずに申請しよう

年金に加算される加給年金や振替加算は、厚生年金保険の被保険者やその配偶者だけの特権ともいえます。年齢や加入期間など、さまざまな要件を正確に把握しておき、ライフプランニングに役立てたいものです。受給には届出が必要になる場合もあります。忘れずに申請しましょう。
 

出典

日本年金機構 加給年金額と振替加算

日本年金機構 生計維持

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集