更新日: 2023.07.03 国民年金

40歳自営業。月400円の付加年金を納付して65歳で年金をもらうとしたらどのくらい増えるの?

執筆者 : 中村将士

40歳自営業。月400円の付加年金を納付して65歳で年金をもらうとしたらどのくらい増えるの?
自営業の場合、厚生年金に加入できないため、会社員の方に比べ、老後資金に不安があることでしょう。国民年金第1号被保険者・65歳未満の任意加入被保険者のための「年金の上乗せ制度」として、「付加年金」というものがあります。
 
本記事では、付加年金への加入を検討すべき自営業の方に対し、付加年金の概要と年金額について解説します。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

付加年金の概要

先述のとおり、付加年金は老齢基礎年金に上乗せする年金です。定額の国民年金保険料に付加保険料400円を上乗せして納付することで、将来受け取れる年金額が増えます。ちなみに、付加保険料は400円と決められているため、増減することはできません(前納する場合は、前納する期間に応じて割引を受けられます)。
 
付加年金に加入できるのは、国民年金第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者のみです。自営業の方は、国民年金第1号被保険者ですので、付加年金を納付することができます。なお、国民年金保険料の納付を免除されている方や国民年金基金の加入員である方は、付加保険料を納付することができません。
 
付加年金を納付したい場合は、市区役所、町村役場または年金事務所に、国民年金付加保険料納付申出書を提出します(農業者年金に加入したときは、国民年金付加保険料納付該当届を提出)。付加保険料の納付をやめたい場合は、市区役所、町村役場または年金事務所に、国民年金付加保険料納付辞退申出書を提出します。
 

付加年金の年金額

付加年金の年金額は、以下の計算式によって算出されます。
200円 × 付加保険料納付月数
 
例えば、現在40歳の自営業の方が、60歳までの20年間、付加保険料を納めた場合の年金額は、以下のように算出します。なお、老齢基礎年金は65歳で満額を受け取るものとします。

【付加年金額】
●200円×240月(20年)=4万8000円(年額)
【老齢基礎年金額(令和5年4月分から)】
●79万5000円(年額)
【年金の合計】
●79万5000円+4万8000円=84万3000円

納付した付加保険料は9万6000円(=400円×240月)ですので、付加年金を2年以上受け取ると、納付した保険料以上の年金を受け取れる計算になります。
 
公的年金(国民年金と厚生年金保険)は、年金額の実質価値を維持するため、物価スライド(マクロ経済スライド)を導入しており、物価の変動に応じて年金額が改定(増額または減額)されます。一方、付加年金には物価スライドがなく、将来受け取れる年金は定額となっています。
 

まとめ

付加年金は老齢基礎年金に上乗せする年金であり、自営業の方には、付加年金の納付を検討していただきたいところです。付加保険料は毎月400円であり、付加年金額(年額)は200円に付加保険料納付月数を乗じた金額です。付加年金を2年以上受け取ると、納付した保険料以上の年金を受け取ることができます。
 
公的年金の年金額には物価スライドがあり、将来、物価の変動に応じた年金額の改定がありますが、付加年金の年金額には物価スライドがなく、物価の変動に応じた年金額の改定はありません。したがって、付加年金は、将来受け取れる年金額が把握しやすいといえます。
 
付加年金を納付するためには、市区役所、町村役場または年金事務所に、国民年金付加保険料納付申出書を提出する必要があります。反対に、付加保険料の納付をやめたい場合は、市区役所、町村役場または年金事務所に、国民年金付加保険料納付辞退申出書を提出します。この機会に、付加保険料の納付を検討してみてはいかがでしょうか。
 

出典

日本年金機構 「付加年金」
日本年金機構 「付加保険料の納付」
e-Gov 法令検索 「国民年金法」
日本年金機構 「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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