更新日: 2023.07.03 国民年金
大学生の子の「国民年金保険料」1年分20万円を親が払うと6万円の節税に? 適用の条件とは
また、学生納付特例制度以外にも、親に払ってもらうのも方法の一つです。親が大学生の子の国民年金保険料を払えば、所得控除を受けられます。親の所得税率が20%の場合、住民税率の10%と合わせて約6万円の節税が可能です。
本記事では、国民年金保険料の納付義務から学生納付特例制度、親が大学生の子の国民年金保険料を払った場合の節税効果について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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20歳から国民年金保険料の納付義務が発生する
日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は、国民年金に加入して保険料を納付する義務が発生します。学生だったり、無職で働いていなかったりする人でも、保険料の納付が自動的に免除されることはありません。
令和5年度の国民年金保険料は1万6520円です。納付期限は納付対象月の翌月末(土日、祝日、年末年始に当たる場合は金融機関の翌営業日)となっており、納付書、口座振替、クレジットカードといった方法で納付が可能です。また2023年5月より、納付書のバーコードをスマートフォンアプリで読み取って保険料を支払う、電子決済ができるようになりました。
「学生納付特例制度」で保険料の納付を猶予してもらえる
国民年金保険料の納付が難しい学生は、学生納付特例制度によって保険料の納付を猶予してもらえます。学生納付特例制度を受ける前年の収入が一定の基準以下の学生であれば、申請が可能です。
●所得基準:128万円(令和2年度以前は118万円)+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
●大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校および都道府県知事の認可を受けた各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学する学生
※夜間・定時制課程や通信課程も含まれる
申請手続きは、住民登録をしている市区町村の役所または役場の国民年金担当窓口、年金事務所や在学中の学校などで行えます。
なお、学生納付特例制度は保険料が免除される制度ではないので、保険料が未納のままでは将来的に受け取れる年金が減額します。10年以内であれば保険料の追納が可能です。受け取れる年金額を増やすためにも追納を行うようにしてください。
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大学生の国民年金保険料を親が払うと節税効果がある
学生納付特例制度を申請する以外に、国民年金保険料を親に払ってもらえないかどうかを確認してみてください。社会保険料控除という所得控除を受けられることによって、課税所得額が減少するからです。
社会保険料控除は、納税者が本人または納税者と生計を一とする配偶者や親族が負担するべき社会保険料を払った際に、その払った金額について所得控除を受けられる制度です。分かりやすく当てはめると「学生である子の国民年金保険料を親が払えば、親は払った金額に対する所得控除を受けられる」となります。
この場合の生計を一とするとは、納税者と同居状態でなくても問題ありません。生活費や学費などの送金を行っている場合、生計を一にする状態に該当します。
社会保険料控除による節税額はどのくらい?
大学生の子の国民年金保険料を課税される所得金額が500万円の親が払った場合、社会保険料控除による節税額は約6万円です。
●1年間に払う国民年金保険料:1万6520円×12(月)=19万8240円(約20万円)
●納税者である親の所得が500万円だった場合の所得税率20%、住民税率10%
●19万8240円×30%=5万9472円
所得税は累進課税制度です。課税される所得金額が高ければ、税率が上がって節税効果が期待できます。
注意点として、親が子どもの国民年金保険料を支払った場合、社会保険料控除を受けるには、年末調整や確定申告の際に「社会保険料控除証明書」の提出が必要となります。また、保険料は親名義の預金口座やクレジットカードで支払わなければなりません。口座振替の場合は、口座番号を確認できる通帳やキャッシュカード、クレジットカードの場合は利用するカードを年金事務所に持参して手続きを進めましょう。
節税対策として子の国民年金保険料納付を検討してみよう
大学生でも20歳以上になると国民年金へ加入して、保険料の納付義務が発生します。大学生である本人に収入がないなど、納付が難しいケースも多いことでしょう。
その場合、学生納付特例制度で納付を猶予してもらう以外に、親に払ってもらうことを検討してみてください。親が国民年金保険料を払えば、所得控除を受けられて節税対策にもなり、大学生の子だけでなく親にもメリットがあります。
出典
日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 学生のみなさまへ
国税庁 No.1130 社会保険料控除
国税庁 No.2260 所得税の税率
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー