更新日: 2023.07.06 その他年金

「年収300万円」と「年収500万円」、それぞれ年金はいくら受け取れる? 受給額の差についても確認!

「年収300万円」と「年収500万円」、それぞれ年金はいくら受け取れる? 受給額の差についても確認!
将来受け取れる年金ですが、年収や加入期間によって受給額に差が生じてくるのを知っている人も多いのではないでしょうか。では、実際に年収300万円の人と500万円の人ではどれくらい年金受給額に差があるのでしょうか。
 
本記事では、年収300万円の人と年収500万円の会社員で、将来の年金受給額にいくら差が生じるのか、試算します。この記事を参考にして、将来の年金対策を考えるきっかけになればと思います。
辻本剛士

執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

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年金制度の概要

まず、公的年金の制度について、基本的な概要を説明します。
 
公的年金は、1階部分にあたる「老齢基礎年金」と2階部分にあたる「老齢厚生年金」の2階建て構造となっており、原則65歳以上からの受け取りになります。
 
個人事業主などは「老齢基礎年金」のみ受け取り、会社員や公務員などは「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」を受け取るのが一般的です。「老齢基礎年金」は年収に関係なく、保険料を支払った月数に応じて受給額が決まり、令和5年度は加入期間40年(480ヶ月)で満額79万5000円を受け取れます。
 
一方の「老齢厚生年金」は、年収や加入期間に応じて受給額が異なります。老齢厚生年金の計算式は次のとおりです。
 

●2003年3月以前:平均標準報酬月額×(7.125/1000)×加入月数
●2003年4月以降:平均標準報酬額×(5.481/1000)×加入月数

 

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年収300万円・500万円の年金受給額の差は?

ここからは、会社員で年収300万円の人と、500万円の人で年金受給額にいくら差が生じるのか、試算します。条件は次のとおりです。なお、2003年4月以降の加入者とし、平均標準報酬額は単純に年収を12で割って報酬月額に該当する等級に合わせます。
 

【会社員Aさん】
●年収:300万円
●厚生年金加入期間:40年(2003年4月以降からの加入)
●平均標準報酬額:26万円

【会社員Bさん】
●年収:500万円
●厚生年金加入期間:40年(2003年4月以降からの加入)
●平均標準報酬額:41万円

 
この条件で年金受給額を比較します。
 

年収300万円のAさんの場合

会社員Aさんの年金受給額からみていきましょう。
 
まず1階部分にあたる「老齢基礎年金」ですが、40年間加入しているため満額79万5000円を受給できます。
 
次は2階部分にあたる「老齢厚生年金」です。
26万円×(5.481/1000)×480月=約68万4000円
会社員Aさんは、老齢厚生年金を約68万4000円受給できます。
 
合計すると、79万5000円(老齢基礎年金)+68万4000円(老齢厚生年金)で147万9000円を受給できます。
 

年収500万円のBさんの場合

1階部分にあたる「老齢基礎年金」は会社員Aさんと同じ条件のため、満額79万5000円を受給できます。
 
次は、2階部分にあたる「老齢厚生年金」です。
41万円×(5.481/1000)×480月=約107万9000円
 
合計すると、79万5000円(老齢基礎年金)+107万9000円(老齢厚生年金)=187万4000円を受給できます。
 
この結果、会社員Aさんと会社員Bさんの年金受給額の差は187万4000円-147万9000円=39万5000円となります。1ヶ月分にすると約3万3000円の差が生じます。
 

年金が足りないと感じたら早めの対策を

年収300万円の人と500万円の人では、将来受け取れる年金額に年間で約39万5000円の差が生じる試算結果となりました。この結果を通じて不安を感じた人は、早めの対策を検討しましょう。
 
対策としては、将来の年金にプラスして受け取れる「個人型確定拠出年金(iDeCo)」や「個人年金保険」などの活用があげられます。自身がどの方法を選択すればよいのか分からない場合は、ファイナンシャルプランナーなどのお金の専門家に相談することも1つの選択肢です。
 

出典

日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額

日本年金機構 保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)

 
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

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