60歳で貯金は「300万円」。貯金と年金だけで生活できる? 年金は何歳から受け取るべき?
配信日: 2023.07.14
本記事では、60歳時点で貯金が300万円ある場合、年金の繰上げ受給や繰下げ受給を活用したほうがいいのか、老後の生活は大丈夫なのか、解説します。話を分かりやすくするため、下記を想定して説明します。
・老後は夫婦2人で生活する
・年金保険料は満額納付し、未納や免除などはない
・副業や投資などによる収入はない
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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老後の生活にかかるお金はどのくらい?
老後の生活設計を考えるためには、どのくらい支出する可能性があるのか見積もる必要があります。総務省統計局のデータによると、65歳以上夫婦のみの世帯の消費支出は22万4436円となっています。ただし、このデータはあくまで最低限必要な生活費を表しているため、実際はさらにかかる可能性があります。
自分は旅行もしない、車も保有していない、ぜいたくもしないから大丈夫と思われるかもしれませんが、想定外の出費は誰にでも起こり得ます。
●病気やけがで通院や入院をする
●親の介護をしなければならない
●洗濯機や冷蔵庫など生活に欠かせない製品が故障して買い替えなければならない
上記のような場合は、自身の価値観や家族構成に関わらず直面する可能性があります。そのため、月に30万円近く必要になることも考えられます。
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貯金と年金だけで生活できる?
65歳から年金を受け取り始める場合、60歳からの5年間は預貯金などでカバーする必要があります。
仮に毎月30万円の支出が発生する場合、預貯金300万円はわずか10ヶ月で底をついてしまいます。そのため預貯金のみで生活するのは現実的とはいえず、定年後もできる限り働くなどして収入を確保する必要があります。
年金の繰り上げや繰り下げはしたほうがいい?
老齢年金は原則65歳になると受け取ることができます。日本年金機構によると、2023年度における夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額(平均標準報酬が約44万円で40年間就業した場合に受け取れる年金の給付水準)は、22万4482円となっています。
一方、60歳から75歳までの間で繰上げ受給や繰下げ受給を行って、受け取り時期を変更することも可能です。
預貯金で生活するのが厳しい場合は、65歳になる前に繰上げ受給を選択することも考えられますが、繰上げ受給の請求をした時点に応じて年金が減額され、減額率は一生変わりません。
原則として、老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰り上げ請求をする必要があり、繰り上げ請求した後は取り消しできない点にも注意が必要です。
一方で、年金に頼らなくても資金に余裕がある場合は、繰下げ受給もできます。最大で84%増額できるメリットがありますが、今回の場合は貯金が300万円で、定年後の仕事や収入規模が明確になっているわけではないため、繰下げ受給する必要性は低いと考えられます。
いずれにせよ、年金のみだと毎月の収支が赤字となり、預貯金もすぐになくなってしまう可能性が高いため、定年後も再雇用やパート、アルバイトなどで働いて「年金以外の収入」を確保することが欠かせないといえるでしょう。
まとめ
今回は60歳で貯金300万円ある場合、年金の繰上げ受給や繰下げ受給はしたほうがいいのか、解説しました。
貯金300万円であれば、明日の生活に困るようなことはないかもしれませんが、想定外の出費が続いて考えていたよりも早く資金が底をつくことも十分考えられます。年金のみでは赤字家計となる可能性が高いため、定年後も働き続けたり副業を行ったりして、収入の分散化をはかることが重要です。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編) 2021年(令和3年)家計の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー