更新日: 2023.07.21 iDeCo(確定拠出年金)
iDeCo「積立時の節税メリット」は絶大! 自分はいくら節税できる?
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iDeCoは、積み立てたお金が一部戻ってくる
iDeCoでの積立時は、掛金の全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となるため、その年の所得税と住民税の負担が軽減できます。年間の節税額は「年間の掛金×所得税・住民税の合計税率」で算出できます。
例えば、年収約500万円、課税所得(社会保険料、配偶者や扶養親族、生命保険料などに対する所得控除の控除後)が230万円のAさんが、iDeCoで月2万3000円、年27万6000円を積み立てたとします。
所得税の税率を10%、住民税の税率を10%(所得税額によらず共通)とし、合計税率を20%として計算すると、軽減できる年間の税負担は、27万6000円×20%=5万5200円になります。もし積立を20年続ければ、110万円以上の節税となり、節税効果は絶大です。
なお、課税所得は、所得税・住民税の合計税率の算出に使うので注意しましょう。
図表1
財務省「もっと知りたい税のこと」より筆者作成
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節税効果は、職業や収入によって大きく変わる。自分はいくら節税できる?
節税効果は、課税所得が高い人ほど、高くなります。先ほどのAさんの場合(課税所得230万円、月2万3000円の積立)では節税額が年5万5200円でしたが、課税所得が500万円の人が同額の積立をした場合、節税額は年8万2800円にまでアップします。
また、職業によって、掛金限度額が異なる点にも注意しましょう。自営業・フリーランスは、年81万6000円(国民年金基金または国民年金付加保険料との合算額)まで積み立てられます。それに対し、企業年金(企業型DC・DBなど)のある会社員や公務員は、年14万4000円が上限なので、その分得られる節税効果も小さくなります。
○自営業・フリーランスの場合
・掛金限度額 6万8000円/月(81万6000円/年)
・課税所得(iDeCo利用後)300万円の場合(合計税率20%)
・年16万3200円の節税
○会社員(企業年金なし)の場合
・掛金限度額 2万3000円/月(27万6000円/年)
・課税所得(iDeCo利用後)230万円(年収約500万円)の場合(合計税率20%)
・年5万5200円の節税
○パートで働いている専業主婦(夫)の場合
・掛金限度額 2万3000円/月(27万6000円/年)
・課税所得(iDeCo利用後)97万円(年収約200万円)の場合(合計税率15%)
・年4万1400円の節税
○専業主婦(夫)の場合
・掛金限度額 2万3000円/月(27万6000円/年)
・課税所得(iDeCo利用後)0万円(年収なし)の場合
・節税額 0万円
○公務員の場合
・掛金限度額 1万2000円/月(14万4000円/年)
・課税所得(iDeCo利用後)440万円(年収約800万円)の場合(合計税率30%)
・年4万3200円の節税
図表2は、さらに具体的な課税所得と掛金額に応じた、年間節税額を表したものです。自分の場合はいくらになるのか、実際に計算してみましょう。
図表2
国税庁「所得税の税率」より筆者作成
所得税については国税庁参照、住民税については10%で試算
控除を受けるための手続き
控除を受けるための手続きは、会社員なら年末調整時、自営業なら確定申告時の申請が必要です。
その際、「確定申告書」または「給与所得者の保険料控除申告書」の「小規模企業共済等掛金控除」の欄に、iDeCoの掛金額を記入します。また、国民年金基金連合会から送られてくる「小規模企業共済等掛金払込証明書」という書類の添付が必要となります。毎年10月ごろに送付されてくるので大切に保管しておきましょう。
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まとめ
iDeCoには、「積立時」のみならず、その他のタイミングで税制優遇があります。「運用時」には、運用して利益が出ても税金がかかりません。また、「受取時」には、一時金・年金どちらの受け取り方でも「退職所得控除」や「公的年金等控除」が適用されるため、一定額まで非課税になります。
公的年金だけで不足する老後資金は、税制面で手厚いメリットがあるiDeCoを利用して、賢く準備するのがおすすめです。
なお、iDeCoを活用することで、税制面の優遇があり、結果として節税に繋がりますが、掛金は容易に引き出せません。そのため、節税目的で掛金を無理に引き上げることで、日々の生活に影響するようでは本末転倒です。
出典
国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」
国税庁「所得税の税率」
国税庁「退職金を受け取ったとき(退職所得)」
国税庁「公的年金等の課税関係」
執筆者:水上克朗
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー