更新日: 2023.08.29 その他年金

定年退職後から年金をもらっているけれど、再び会社に勤めたらまた年金保険料を払わないといけない…?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

定年退職後から年金をもらっているけれど、再び会社に勤めたらまた年金保険料を払わないといけない…?
定年退職後に、もう一度働きたいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。そこで疑問なのが、「働きながらでも年金はもらえるのか」「年金をもらっていても、働きだしたらまた年金保険料を支払うのか」という問題です。
 
そこで今回は、年金受給の仕組みについて解説します。定年退職のあとに、再び働きたいと考えている人は、ぜひ最後までお読みください。
FINANCIAL FIELD編集部

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定年退職後に再び働く場合は70歳まで「厚生年金」を支払う必要がある

国民年金保険は原則「60歳まで」、厚生年金保険は「70歳まで」と、加入期間が決められています。60歳を過ぎて退職した場合は、国民年金保険料の支払いは終了となります。
 
厚生年金保険は、会社員や公務員であれば、加入しなければなりません。退職後には一度、加入から外れますが、再雇用制度を使って働く場合は、再び厚生年金保険料を70歳まで支払う必要があります。
 

働きながらでも年金は受け取れる

給与収入があっても、年金(特別支給の老齢厚生年金や、老齢基礎年金・老齢厚生年金)の受け取りは可能です。厚生労働省の国民生活基礎調査(令和4年)によると、公的年金や恩給が、総所得の100%を占める世帯は44.0%で、残りの56%の世帯は、公的年金などのほかにも収入があることが分かります。
 
働きながら年金を受け取る場合は、「在職老齢年金」が適用されます。また、年金受給中に払い込まれる厚生年金保険料は加算されて、年に1回の在職定時改定時に、支給される年金額が改定されます。
 
ただし、以下に当てはまる場合は、特別支給の老齢厚生年金もしくは老齢厚生年金の、一部または全部が支給停止となるため、注意が必要です。


・厚生年金保険に加入しながら働く場合
・厚生年金保険の加入事業所で、70歳以降も働く場合の給与収入(老齢厚生年金と給与の合計)が、月48万円(令和5年度の支給停止調整額)を超える場合

なお、老齢基礎年金は、収入にかかわらず、全額受給が可能です。
 

60歳以降、働きながら受け取れる年金は「在職老齢年金」

60歳以降に働く場合は、厚生年金保険に再度加入する必要があるため「在職老齢年金」が適用されます。現在受給している老齢厚生年金(基本月額)と、給与・賞与(総報酬月額相当額)に応じて、在職老齢年金の受給額が異なります。
 
基本的には、基本月額と総報酬月額相当額の合計が、48万円以内であれば、老齢厚生年金は、全額受け取りが可能です。48万円を超える場合は、以下の計算式によって、支給停止額が決められます。
 
支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)×1/2
 
例として、給与30万円(月額)、賞与240万円(年間)、老齢厚生年金16万円(月額)、老齢基礎年金5万円(月額)の場合、月の収入がいくらになるのかを計算してみましょう。賞与を月換算すると、給与は月に50万円となります。
 
(66万円-48万円)×1/2=9万円
 
支給停止額は9万円となるため、老齢厚生年金は7万円に減額されてしまいます。老齢基礎年金の5万円と合わせると、月の収入は62万円になります。
 

働きながらでも給与48万円以下なら年金は全額受け取れる

60歳を迎えて定年退職したあとに、年金を受け取りながらでも、働くことは可能です。しかし、再び会社員となった場合、在職中は70歳までは厚生年金保険料を支払う義務が発生します。
 
そして、年に1回の在職定時改定で、年金額が改定されます。また、受給している年金と給与を合わせて48万円を超えた場合は、一部もしくは全額支給停止となります。年金を全額受給しながら働きたい人は、月の収入を48万円以下に調整する必要があるでしょう。
 

出典

日本年金機構 働きながら年金を受給する方へ
厚生労働省 「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」 II 各種世帯の所得等の状況(11ページ)
公益財団法人 生命保険文化センター 在職老齢年金について知りたい
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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