繰下げ年金受給待機中の夫が死亡。待機中の年金を遺族がもらうことはできないの?
配信日: 2023.08.30 更新日: 2023.08.31
その一方で「もし、年金の繰下げ受給を選択して、待機中に亡くなった場合の年金はどうなるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
本記事では、年金の繰下げを選択して待機中に亡くなった場合、本人がかけていた年金を遺族が代わって受け取れるかどうかを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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繰下げ待機中に亡くなった場合の年金はどうなる?
繰下げ待機中とは、年金の繰下げを選択して受け取るまでの期間です。例えば、年金を70歳から受け取る予定の場合、65~70歳は繰下げ待機中です。この期間に亡くなった場合、未支給の年金は配偶者や子どもなどの遺族が受け取れます。
本項では、未支給の年金を受け取れる遺族の範囲や、繰下げによって得られる増額分の扱いはどうなるかについて解説します。
65歳時点で決まった年金額が一括して支払われる
繰下げ待機中に本人が亡くなった場合、配偶者や子、父母、孫など生計を同じくしていた遺族が代わって年金を受け取れます。本人に配偶者や子どもがおらず、父母や兄弟も亡くなっているといった場合は、甥姪や伯父伯母など3等親以内の生計を同じくしていた親族が受け取り可能です。
生計を同じくするというのは、同居をしている、別居をしているが生活費を亡くなった方が負担していた場合です。配偶者は死亡しており、子どもはいるが住居も家計も別の場合は受け取る権利がないので注意しましょう。
また、年金待機中に亡くなった場合は、65歳時点の年金額が経過年数分、未支給年金として一括で振り込まれます。増額分はプラスされません。
請求した時点から5年以上前の年金は時効により受け取れない
未支給の年金は、請求した時点から5年以上前の分が時効によって受給権利を失います。したがって、65~70歳までの間に繰下げ受給待機中に亡くなった場合は、未支給分をすべて受け取り可能です。しかし、70~75歳までの間の繰下げ受給待機中に亡くなった場合は、最大で5年分の年金が受け取れなくなります。
これは、繰下げ受給を選択した場合のリスクです。人がいつ亡くなるかは予想できませんが、繰下げ受給待機中に今すぐ亡くなるわけではないが完治も難しいなどといった病気にかかった場合などは、年金受給を開始したほうがよいケースもあります。
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夫婦共に年金を繰下げ中の場合の注意点
夫婦共に働いているなどで、両者とも繰下げ受給を選択している場合は、注意が必要です。配偶者が亡くなり、その方によって生計を維持していた場合、遺族年金や寡婦年金の受給権が発生するからです。
66歳に達した日以後の繰下げ待機期間中に、ほかの公的年金の受給権が発生した場合は、その時点で増額率が固定されます。受給した権利が発生した時点で増額率が固定されるので、受給を遅らせる選択をしても結果は変わりません。そのため、配偶者が亡くなった時点で遺族年金や寡婦年金の受給権が発生する場合は、繰下げをやめて年金の受給を開始するとよいでしょう。
ただし、夫婦共に65歳を超えても働いており、生計が独立していた場合などはこのかぎりではありません。
年金の繰下げはリスクもあると承知しておく
現在は65歳を超えても働く方が増えており、「将来に備えて年金を増やしたいから、公的年金は繰下げられるだけ繰下げしよう」と考える方も珍しくありません。しかし、繰下げ受給待機中に亡くなり、生計を共にしている遺族がいない場合、せっかくかけ続けた年金は受け取れずに国庫に返金されます。また、遺族がいる場合も増額分は受給できません。
年金を繰下げ受給するとメリットも多いですが、本記事でご紹介したようなリスクがあることも承知しておき、年金の受給時期を決定しましょう。
出典
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
日本年金機構 遺族年金ガイド
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー