更新日: 2023.09.02 その他年金

60歳の独身男性、「月14万円」の年金のみで老後生活は可能? 平均生活費をもとに「老後破産」を回避する方法を解説

60歳の独身男性、「月14万円」の年金のみで老後生活は可能? 平均生活費をもとに「老後破産」を回避する方法を解説
結婚をすると経済面、精神面、生活面で心強く感じる人もいるでしょう。しかし、一般的に家族が増えると支出も増えます。そのため、同じ年収であっても独身の人のほうが金銭的に余裕がある場合もあるでしょう。しかし、老後は1人分の年金しか受け取れないため、老後生活に不安を感じることもあるのではないでしょうか。
 
本記事では、独身60歳男性の老後生活について解説します。老後破産を避ける方法も紹介しますので、老後の生活設計に役立ててください。
西岡秀泰

執筆者:西岡秀泰(にしおか ひでやす)

社会保険労務士・FP2級

単身高齢者の平均生活費は15万5000円

総務省の「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上単身無職世帯の家計収支の平均値は次の通りです。
 

●収入:13万4915円
●支出:15万5495円
●収支:マイナス2万580円

 
単身高齢者の平均生活費は約15万5000円で、平均的な収入だと毎月約2万円の赤字です。ただし、年金収入は人によって異なります。また男性の方が年金額は多い傾向にあります。
 

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老後の年金収入

老後の主な収入は公的年金です。会社員の男性を対象に年金収入を紹介します。
 

厚生年金加入者(男性)の平均年金額は16万9000円

厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢厚生年金受給権者の平均年金額は月14万3965円です。65歳以上の受給権者の年金額(月額)を男女別にみると、次の通りです。
 

●男性:16万9006円
●女性:10万9261円

 
厚生年金の受給権がある男性の平均は17万円近くあるため、老後の生活費を15万5000円とすると年金だけで生活費が賄えます。
 

厚生年金加入者(男性)の約3割は、受給額が14万円以下

厚生年金に加入していた65歳以上男性の年金額は月17万円近くありますが、月額25万円を超える人がいる一方、10万円に満たない人もいます。
 
65歳未満の人も含めると、男性の厚生年金受給権者のうち約3割は年金額が14万円以下という状況です。老後の生活費を15万5000円とすると、約3割の独身男性については年金だけでは毎月1万5000円以上の赤字になるということです。
 

老後破産を避ける方法

独身男性の引退後の収入は、多くの場合自身の年金収入だけです。十分な貯金がなく年金だけで生活費を賄えない場合、老後破産の可能性もあります。老後破産を回避するための方法を3つ紹介します。
 

長く働いて収入を増やす

老後破産を避ける1つ目の方法は、可能な限り長く働いて収入を確保することです。国は企業に対し70歳までの就業機会確保を求めています。再雇用や業務委託など雇用形態はさまざまですが、65歳を過ぎても働ける環境が整備されていく予定です。
 
また、アルバイトなどで月に5万円から10万円でも稼げば、家計収支が赤字から黒字に転換するケースも多いでしょう。
 

生活習慣を見直して節約する

2つ目の方法は、生活習慣を見直して支出を減らすことです。大手携帯キャリアを利用している人は格安スマホに乗り換える、タクシーの利用頻度が高い人は歩く機会を増やす、スポーツジムや習い事を見直す、など、支出を抑えられないかを点検してみましょう。
 
特に、外食の多い人は、自炊を増やして食費を抑えることを検討してみましょう。消費支出に占める割合が高い食費は、節約効果の大きい費用といえるでしょう。
 

お金の増やし方を考える

3つ目の方法は、お金を貯めるのではなく増やすことです。預貯金を中心にお金を貯めていても、低金利でお金を増やすことは難しい状況です。人生100年と考えると、投資でお金を増やす時間はまだまだあるといえるでしょう。
 
また、公的年金の繰下げ受給を利用して年金額を増やすのも選択肢の1つです。自身に合った方法でお金を増やすことを検討してみましょう。
 

独身男性も老後対策が必要

1人だから老後は何とかなると考えている独身男性の人も、老後の生活設計について具体的に検討してみましょう。まずは、単身高齢者の平均生活費15万5000円を参考に毎月の支出額を想定し、年金見込額と比較して老後の家計収支が赤字になるか、年金だけで生活できるかを確認します。
 
赤字が予想される場合には、収入を増やす、支出を抑える、効率的にお金を増やすなどの対策が必要です。本記事を参考に、自身に合った老後対策を考えましょう。
 

出典

総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要

厚生労働省 令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況

 
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級

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