更新日: 2023.09.05 国民年金

63歳の親が「もう国民年金を受給する」と言っています。受給額が減ると年金の元を取れなくなるのでしょうか?

63歳の親が「もう国民年金を受給する」と言っています。受給額が減ると年金の元を取れなくなるのでしょうか?
「手元の老後資金に不安がある」「家計にもっと余裕をもちたい」などの理由で、老齢年金の繰上げ受給を検討する人も多いでしょう。一方、繰上げ受給の選択を本人の判断に任せてよいのか、心配するご家族もまた多いのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、「繰上げ受給をすると年金の元が取れなくなるのかどうか」の検証を中心に、繰上げ受給の仕組みや注意点も解説します。繰上げ受給を検討するときの判断材料として、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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65歳から受給すると年金は何歳で元が取れるのか

自営業者など国民年金のみを支払っている人が、20~60歳までの40年間国民年金保険料を支払うと、支払う国民年金保険料の総額は以下のように計算できます(令和5年度の国民年金保険料:月額1万6520円をもとに計算した場合)。
 
1万6520円×12ヶ月×40年=792万9600円
 
一方、65歳から老齢基礎年金を受給する場合の満額の年金額は、月額6万6250円(令和5年度)です。
 
毎月6万6250円の受給額を積み重ねると、累計額が792万9600円を超えるのは120ヶ月目なので、受給開始から10年後の75歳まで老齢基礎年金を受け取れば、支払った国民年金保険料の元が取れる計算となります。
 

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繰上げ受給で年金額が減る仕組みと減額率

老齢年金の受給開始年齢は65歳ですが、受給開始を60歳0ヶ月~64歳11ヶ月のどこかのタイミングに早める選択も可能です。老齢年金の受給開始を早める制度を年金の「繰上げ受給」といいます。
 
老齢年金の繰上げ受給をする場合は、受給を早めた月数に応じて次の計算式で求めた割合が、本来の年金額から減額される仕組みです。
 
減額率(最大24%)= 0.4%×繰上げ請求月から65歳の誕生日前日の前月までの月数
 
今回の63歳で老齢基礎年金の繰上げ請求をする場合は、誕生日前日からの経過月数に応じて6.5~12%の減額率が適用されます。
 

63歳で繰上げ受給を選択した場合の元が取れる年齢は?

老齢年金の繰上げ受給にともなう年金額減額のルールを踏まえて、63歳に受給を繰上げた場合に、元が取れるのは何歳になるのかを計算してみましょう。
 
老齢基礎年金の受給開始を63歳0ヶ月に繰上げる場合、減額率は12%です。この減額率を令和5年度の満額の年金月額6万6250円に適用すると、減額後の年金月額は6万6250円×(100%-12%)=5万8300円となります。
 
毎月5万8300円の受給を積み重ねると、累計額が納めた国民年金保険料792万9600円を超えるのは137ヶ月目なので、受給開始から11年5ヶ月後の74歳5ヶ月ごろには元が取れる計算です。
 
つまり、本来の65歳受給開始と比べて、元が取れるまでにかかる期間は1年5ヶ月ほど長くなりますが、年齢で考えると半年以上若い時点で元が取れることになります。
 

繰上げ受給の選択にともなうデメリットに注意

厚生年金の加入歴がある人が老齢基礎年金を繰上げ受給する際は、老齢厚生年金も必ず繰上げ受給しなければならないことに注意が必要です。また、以下のようなデメリットもあるため、繰上げ受給を選択する前に、大きく損をする可能性がないか自分や家族のケースについて十分に検討しましょう。
 

●繰上げ受給開始後は、国民年金の納付済期間が40年に満たなくても国民年金の任意加入ができない
●繰上げ受給開始後は追納ができない
●繰上げ受給開始後は寡婦年金を受け取れない(寡婦年金を受給中の場合は権利が消失する)
●繰上げ受給開始後は事後重症などによる障害年金を請求できない
●65歳までは遺族厚生年金や遺族共済年金を併給できない

 

繰上げ受給の選択には慎重な検討が必要

63歳から国民年金を早めに受給した場合、国民年金保険料の元はかえって早い年齢で取れる計算です。しかし、安易に繰上げ受給を選択すると、毎回の受給額が少なくなるだけでなく、任意加入や追納ができない、寡婦年金などの受給ができないなどのデメリットをともないます。
 
条件によっては生涯に受け取れる年金の金額が少なくなって損をする可能性があるため、自身のケースでは大きなデメリットを被る可能性がないか、事前によく検討することが重要です。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について

日本年金機構 年金の繰上げ受給

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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