老後も「月30万円」稼げるなら、年金は貯蓄すべき? 70歳から繰下げ受給したほうがお得なの?
配信日: 2023.09.09
その際に気になるのが、年金をすぐに受け取って貯蓄する場合と、繰下げ受給を選ぶ場合、どちらが有利なのかという点です。
本記事では、それぞれの選択肢について、どちらが長期的にみて有利となるか試算していきます。場合によっては数百万円の差が生じるケースもあるため、ぜひ最後までお読みいただき、繰下げ受給に関する選択の参考にしてください。
執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種
活動拠点は神戸。FP個別相談や、プロスポーツ選手の資産形成サポートも行っております。プロスポーツ選手に保険、資産運用、支出の見直しなど包括的なアドバイスや、帳簿などの面倒な記帳業務を代行し、本業に集中できる環境作りをサポートします。
目次
5年間年金に手を付けなかった場合は1260万円貯まる
2022年の家計調査報告(家計収支編)によると、一般的な老後(65歳以上)の可処分所得(夫婦のみ、無職世帯)は約21万円となっています。通常、65歳から年金受給が開始されますが、もし65歳以降も労働を続け、十分な収入を得られる場合は毎月21万円を貯蓄に回すことが可能です。
仮に、70歳まで労働を続け、その間の年金をすべて貯蓄に回した場合、5年間で合計1260万円の貯蓄が可能です。5年間で1260万円も貯蓄ができることは、非常に魅力的ではないでしょうか。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
年金を1ヶ月繰り下げると年金が「0.7%」増額
ここからは、すぐに年金を受け取らず、繰下げ受給を選択した場合をみていきます。「繰下げ受給」とは、年金の受け取りを66歳以降に開始することです。繰下げ受給をすることで、通常より遅く年金を受給することになりますが、その分、受給額は増える仕組みです。
繰下げ受給は1ヶ月繰り下げるごとに0.7%年金が増額し、65歳から70歳まで繰下げ受給をした場合は42%年金が増額します。
例えば、年金受給額が21万円の人が5年間繰下げ受給した場合、約29万に増額となります。毎月の年金受給額が8万円増額されるため、今後の老後生活においてゆとりが生まれるでしょう。
90歳まで老後生活が継続した場合のシミュレーション
それでは、労働期間中は年金を貯蓄に回すケースと、繰下げ受給するケースとで、どちらが有利となるか試算してみます。条件は次のとおりです。
・年金額:21万円/月
・貯蓄期間:5年
・繰り下げ期間:5年
・老後期間:90歳まで
年金をすべて貯蓄に回した場合には5年間で合計1260万円の貯蓄が可能です。
一方で5年間の繰下げ受給をした場合には42%年金額が増加します。その場合、毎月29万円の年金を受け取れ、繰下げ受給をしない場合と比較して月々8万円の増額です。70歳から90歳までの20年間受給した場合、総額で1920万円の増額となります。
以上のことから、90歳まで老後生活が継続する場合は、繰下げ受給した方が有利であるといえるでしょう。繰下げ受給を開始して13年2ヶ月後に1260万円を上回る計算です。ただし、繰下げ受給は、受給開始後すぐに亡くなってしまうと、年金をほとんど受け取れずに「繰り下げ損」をしてしまう可能性がある点に注意が必要です。
老後の資産状況を考慮した上で、繰下げ受給するか判断しましょう!
今回は、労働期間中は年金をすべて貯蓄する場合と、繰下げ受給をする場合で、どちらが有利となるか試算しました。90歳まで老後生活が継続した場合には繰下げ受給を選択した方が有利です。
しかし、繰下げ受給をするかどうかは、資産状況も考慮に入れて選択する必要があります。あまり貯蓄がない人の場合は、けがや病気などで発生する急な出費に対応するため、現金の確保が必要となります。その場合は繰下げをせずに年金を受給し、手持ちの現金を確保しておいた方が精神的にも安心かもしれません。
もし、自身がどちらを選択すればよいか迷う場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に一度相談してみるのもよいでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編) 2022年(令和4年)平均結果の概要
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種