更新日: 2023.09.12 厚生年金

年金の「最高受給額」はどのくらい? 会社員で受け取れるのは年収いくらの人?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

年金の「最高受給額」はどのくらい? 会社員で受け取れるのは年収いくらの人?
年金制度は、多くの人にとって老後の安定した生活を支える大切な柱の1つです。年金受給額は多ければ多いほど生活に余裕が生まれることでしょう。ところで、最高の年金額を受給するためにはどれくらいの年収が必要なのでしょうか。
 
今回の記事では、老齢基礎年金と老齢厚生年金、さらには繰下げ受給といった要素を考慮しながら、最高額の年金を受け取るための年収について詳しく解説していきます。
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年収額とは無関係な老齢基礎年金

老齢基礎年金は、日本の公的年金制度において最も基本的な年金です。この年金の受給額は、年収とは直接関係なく、主に国民年金保険料を納めた月数に依存します。満額を受給するには、20歳から60歳までの40年間(総計で480ヶ月)にわたって、国民年金保険料をもれなく納める必要があります。
 
基礎年金額は物価変動に応じて毎年少しずつ変動しますが、一般的には月額6万5000円から6万6000円前後です。令和5年度は月額6万6250円(68歳以上は月額6万6050円)でした。これを1年で見ると、約79万円から約80万円の年金受給が可能です。
 
ちなみに、基礎年金には「付加年金」が存在します。これは、国民年金保険料に加えて毎月400円の付加保険料を納めると加算金額を受け取れる制度です。この付加年金は最高で月額8000円の上乗せが可能で、これを基礎年金と合算すると、月額最高で7万4250円、年間で約89万円の受給が可能です。
 
付加年金の制度は、基礎年金だけでは老後生活が厳しいとされる人々に、少しでも多くの受給額を提供する目的で設けられました。ただし、対象は個人事業主やフリーランスなどの第一号被保険者のみで、厚生年金に加入している会社員などは利用できません。
 
最後に、基礎年金の満額受給は、猶予や免除を受けた月、未納の月を挟まずに保険料を全額納めた人が対象となります。
 
場合によっては学生時代や求職中などで収入が少なく、保険料が未納だったり、満額納付していなかったりという場合もあるかもしれません。納付期間についてはしっかりと確認し、必要な手続きを行うようにしましょう。
 

老齢厚生年金の最高額がもらえる年収は?

老齢厚生年金の最高額を受け取るためには、特定の条件を満たす必要があります。この年金の受給額は「標準報酬月額」と「標準賞与額」に基づいて計算され、毎月の報酬額や賞与に影響を受けます。
 
老齢厚生年金の受給額が最高になるための理論上の条件は、15歳で厚生年金に加入し、70歳までの54年間、月給が63万5000円以上、年に3回の賞与が150万円以上あるというものです。
 
この条件を基に算出すると、受給額は年間で約364万480円であり、約30万3000円が老齢厚生年金の最高月額となります。老齢厚生年金と老齢基礎年金を合算すると、約36万9000円が会社員として働いた人の「年金最高受給月額」となるのです。
 
それでは、最高受給月額を受け取るためには、どれくらいの年収が必要なのでしょうか。上記の例のように、厚生年金の加入期間に毎月63万5000円の収入があり、年に3回150万円の賞与が支給される場合、年収は約1212万円となります。これだけの年収があれば、理論上は最高額の老齢厚生年金を受け取ることができるのです。
 

繰下げ受給で受給額アップが可能

通常65歳から年金を受給する場合、最高額は月額約36万9000円ですが、繰下げ受給を選ぶとさらに増額されます。75歳まで受給を延期すると、年金額は84%増で月額約67万9000円となります。
 
ただしこの選択には、受け取る前に亡くなってしまうもしくは、亡くなった年齢によっては受取額が65歳から受け取るよりも少なくなるリスクもあるため、慎重に考える必要があります。
 

最高額の年金受給は年収1200万円が目安

最高額の年金を受け取るためには、基礎年金と厚生年金、さらには繰下げ受給といった複数の要素を考慮する必要があります。特に、厚生年金の最高受給額を目指すには年収1212万円以上が必要です。
 
しかし、これはあくまで理論上の最高額であり、多くの人がこの条件を満たすわけではありません。現実的には、年金支給額だけではなく、多角的な資産形成など、老後の資金計画をしっかりと考えることが重要でしょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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