高齢の父が年金の受給を繰下げ中です。受け取りの手続きで注意点はありますか?

配信日: 2023.09.13

この記事は約 4 分で読めます。
高齢の父が年金の受給を繰下げ中です。受け取りの手続きで注意点はありますか?
高齢になると、年金の受け取りを始めとするさまざまな手続きに、家族のサポートを必要とする人も多くなるでしょう。年金繰下げの受け取り手続きは、家族が代理できるケース、その他の代理人を立てる必要があるケースがあることに、特に注意が必要です。
 
本記事では、繰下げ受給を利用して高齢で年金を受け取る際の手続きや年金を引き出すときの注意点やよくあるトラブルと対処法をまとめました。参考にして、スムーズに手続きできるように備えましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

老齢年金の繰下げ受給の受け取り手続き

老齢年金の繰下げ受給を選択するときの手続きは、受給をスタートするタイミングで行います。老齢基礎年金・老齢厚生年金の片方のみを繰下げる場合を除き、65歳時点での事前申告は必要ありません。
 
受給開始を希望する時期になったら、繰下げ請求書を記入して、近隣の年金事務所や街角の年金相談センターへ提出しましょう。
 

【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資

【PR】J.P.Returns

おすすめポイント

・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる

高齢で年金受け取り手続きをするときは身体機能や意思能力の低下に注意

老齢年金の受給は最高で75歳まで繰下げられるため、受け取り手続き時には高齢で身体が不自由になっていたり、認知症などにより意思能力が低下したりしている可能性があります。
 
自分だけで手続きを進めるのが難しいケースもあるため、家族が適切にサポートできるよう、本人が手続きを希望する時期や受け取り手続きの方法を、事前に確認しておくことが大切です。
 

代理人による請求手続きは可能だが自筆の委任状が必要

繰下げ受給の請求など年金関係の手続きは、家族などが代理人となって代わりに手続きできます。代理人が手続きする際には自筆の委任状が必要です。本人の病気やけがなどが理由で委任状を作成できない場合は、委任状の代わりに以下の書類を用意して相談しましょう(※2親等以内の親族または同居親族が相談する場合)。

・本人の身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳、要介護認定の通知書など
・施設や療養機関に入所している場合は施設長の証明(写しも可)

 

認知症などで意思表示ができなくなると成年後見人制度の利用が必要に

繰下げ受給の受け取り手続きは、本人の意思による必要があります。委任状により代理人が手続きする場合でも、本人に委任の意思確認のための電話連絡が行われることがあるため、意思表示ができない状態では手続きを進められません。
 
本人が認知症などで十分な意思能力を有していない場合には、法的に手続きの代理や支援ができる「成年後見人」を立てなければならない可能性があります。
    

認知症などによる年金受取口座の凍結もよくあるトラブル

認知症などで意思能力が不十分な状態になると、金融機関との取引の際の意思確認もできなくなります。そうなれば本人以外が口座からお金を引き出すことが難しくなり、いわゆる口座凍結の状態に陥るため注意しましょう。
 
年金受け取りの指定口座が凍結状態になると、年金は毎回振り込まれるものの、生活費や医療費などの支払いに使うことは難しくなります(自動引き落としは可能です)。また、年金受取口座は必ず本人名義でなければならないため、家族などの口座への振込先変更もできません。
 

成年後見人による代理取引などの対応が基本

一般社団法人全国銀行協会は、認知症などで意思能力が不十分になり口座が凍結状態になった場合の基本の対応として、財産保護の観点から、成年後見人などの法定代理人やあらかじめ届け出された任意代理人を介した取引を求めています。
 
また、本人の意思能力が低下した状態で本人が取引する場合も、成年後見制度による保佐人・補助人の同意を確認するなど、慎重に取引が進められるのが一般的です。
 

ケースによっては家族による応急的な引き出しが可能なことも

成年後見制度の手続きが完了するのを待つ余裕がない、成年後見制度を利用できない、といった事情がある場合には、家族などによる預金引き出しが応急的に認められるケースもあります。
 
口座の凍結により本人の生活費や医療費、介護費用などが用意できず困ったときには、以下のものを用意して取引銀行の窓口で相談してみましょう。

・預金者本人の通帳・キャッシュカード、届出印
・本人確認書類
・本人と相談者の関係が分かる書類(戸籍謄本など)
・資金が必要な理由が分かる書類(医療費の請求書など)

 

年金を繰下げるときは高齢になるほど高まる認知症などのリスクに注意

老齢年金の繰下げ受給を選択すると、本来の65歳よりも高齢になってから受け取り手続きをすることとなります。そのため、高齢になるほどリスクが高まる身体的な衰えや病気、認知症などによって、手続きや年金の引き出しがスムーズにできなくなる可能性を頭に置いておきましょう。
 
場合によっては、成年後見制度の利用が必要となることもあります。事前に制度について知り、手続きの流れなどを把握しておくと安心です。
 

出典

日本年金機構 66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき
日本年金機構 65歳時の年金の手続き(特別支給の老齢厚生年金を受給している方)
日本年金機構 窓口での年金相談のご案内
法務省 Q1~Q2 「成年後見制度について」
一般社団法人 全国銀行協会 金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集