年金の受給を1ケ月でも早めると起きる「減額」以外のデメリットとは?
配信日: 2023.09.14 更新日: 2023.09.15
本記事では、主に年金の繰上げ制度とデメリットについて解説します。年金の繰上げ受給を検討している人は参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年金の繰上げ受給とは
年金は申請することで繰上げによって65歳以前でも受給することが可能です。繰上げで受給する場合は、本来65歳で受け取ることができる年金額から減額されます。
そのため、減額されるデメリットと繰上げによって早く受給するメリットを比較してメリットが上回るかどうかを判断する必要があります。本項では、繰上げ受給の概要やメリットについて解説します。
年金受給は繰上げと繰下げが可能
年金制度では繰上げと繰下げによる受給が可能です。図表1にそれぞれの特徴を示したのでご確認ください。
【図表1】
繰上げ | 繰下げ | |
---|---|---|
申請可能な年齢 | 60歳以上65歳未満 | 65歳から75歳まで ※昭和27年4月1日以前生まれの人などは、繰下げの上限年齢は70歳(権利が発生してから5年後)まで |
減額または増額 | 請求時の年齢により 0.4~24.0%減額 |
請求時の年齢により 0.7~84.0%増額 |
繰上げ・繰下げ 請求後の年金額 |
繰上げや繰下げ請求後は、生涯減額あるいは増額された金額が支給される |
出典:日本年金機構「年金の繰上げ受給」「年金の繰下げ受給」
年金繰上げ受給のメリット
年金を繰上げ請求する場合のメリットは、安定した収入を早くから確保できる点です。年金は生涯にわたって支給されるため、受給金額によっては生活費への不安を解消できます。
また、仕事による報酬を得ながら年金を受給できれば、働けなくなったときに備えての貯蓄に回せる金額も多くなります。
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年金繰上げによるデメリットと減額率
繰上げ請求をすると年金を早くもらえるメリットがありますが、その反面デメリットも発生します。特に大きなデメリットは、支給される年金額が減額される点です。
また、減額以外のデメリットもあるので、こうしたデメリットをよく理解したうえで繰上げ申請をする必要があります。特に減額率は申請時の年齢によって大きく変わるので、繰上げ申請の時期は慎重に決めましょう。
減額以外のデメリット
繰上げ申請の最も大きなデメリットは減額ですが、それ以外にも主に下記のデメリットがあります。減額と併せて、繰上げ申請するかどうかの判断材料としてください。
◆繰上げ申請のデメリット
・減額のデメリットが一生続く
・繰上げ請求後は取り消しができない
◆繰上げ申請が影響する年金制度など
・老齢年金の繰上げ請求後は国民年金の任意加入や、保険料の追納ができなくなる
・共済組合に加入経験があるときは、原則共済の老齢年金も同時に繰上げ請求となる
・繰上げ請求すると、厚生年金基金から支給される年金も減額される場合がある
・繰上げ請求した老齢年金は、65歳に達するまでの間は、他の年金との併給はできない。具体的には、遺族厚生年金や遺族共済年金など、他の年金と老齢年金を同時に受け取ることはできないのでいずれかの年金を選択することになる
・繰上げ請求した日以後は、国民年金の寡婦年金は支給されず、受給中の場合は寡婦年金の権利がなくなる
・繰上げ請求後は、事後に生じた重篤な障害などによる障害基礎(厚生)年金を請求することはできない
・65歳になるまでの間、雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付が支給される場合は、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止される
・厚生年金保険の長期加入者や障害者の特例措置を受けられなくなる
上記のように、繰上げ受給の申請により受給できなくなる年金もあるので、繰上げ申請前に十分検討しましょう。
繰上げ受給は減額以外のデメリットもあるので慎重に検討を
年金を繰上げ受給することで65歳前から年金が支給されるので、老後の生活に安定をもたらすことができます。
ただし、減額のデメリットや繰上げ申請により受けられなくなる年金なども存在するので、繰上げ申請は慎重に行う必要があります。申請後に変更はできず、生涯にわたり減額となる点も十分に考慮しましょう。
出典
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 老齢年金の繰上げ請求についてのご確認
※2023/9/15 記事を一部修正いたしました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
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