更新日: 2023.09.14 その他年金

国民年金だけでは老後の生活が苦しい…年金生活者支援給付金はどんな人が受給できるの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

国民年金だけでは老後の生活が苦しい…年金生活者支援給付金はどんな人が受給できるの?
増税や物価上昇などの影響で、国民年金だけでは老後の生活に苦しさを感じている人も多いのではないでしょうか。そのような場合は、支給要件を満たしていれば給付を受けられます。
 
年金生活者支援給付金は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金の受給者で所得額が一定の基準以下の人を対象にしており、支給要件や給付金額はそれぞれ異なります。
 
本記事では、年金生活者支援給付金の制度概要や給付を受ける際の注意点を解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

年金生活者支援給付金とはどんな制度?

年金生活者支援給付金は、2019年10月1日の消費税引き上げに伴いスタートした制度です。年金受給者の生活支援を目的にしており、公的年金などの収入やその他の所得額が一定の基準を下回る場合に支給されます。
 
原則として年金支給日(偶数月の中旬)に前月および前々月分の2ヶ月分が支払われ、年金と同じ日に、年金と同じ口座へ振り込まれます。通帳には2つの振り込みが記載されることになりますので確認してください。
 

年金生活者支援給付金の支給要件とは? 月の支給額はいくら?

年金生活者支援給付金は、以下の3種類に分類されており、受け取る公的年金の種類によって、年金生活者支援給付金の種類、支給要件、給付額が異なります。

老齢年金生活者支援給付金

障害年金生活者支援給付金

遺族年金生活者支援給付金

 
年金生活者支援給付金のうち、自分がどの給付金を受け取れるかを確認しておきましょう。
 

老齢年金生活者支援給付金

老齢年金生活者支援給付金は、以下の支給要件をすべて満たす人を給付対象にしています。

・65歳以上の老齢基礎年金の受給者
・同一世帯の全員が市町村民税非課税
・前年の公的年金などの収入金額(障害年金・遺族年金などの非課税収入は含まれない)とその他の所得との合計額が87万8900円以下

老齢年金生活者支援給付金の給付額は、保険料納付済期間と保険料免除期間に応じて算出し、以下の合計額を受け取れます。

・保険料納付済期間に基づく額(月額)= 5140円×保険料納付済期間÷480月(被保険者月数)
・保険料免除期間に基づく額(月額)= 1万1041円×保険料免除期間÷480月(被保険者月数)

老齢年金生活者支援給付金の支給による所得の逆転が生じないために、前年の年金収入額とその他の所得との合計額が77万8900円を超えており、87万8900円以下の方であれば「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
 
支給額は、上記の保険料納付済期間に基づく額(月額)に一定割合を乗じた額となっており、所得の増加に応じて減少する仕組みです。
 

障害年金生活者支援給付金

障害年金生活者支援給付金の給付を受けられるのは、以下の支給要件をすべて満たす人です。

・障害基礎年金の受給者
・前年の所得額が、472万1000円+扶養親族の数×38万円以下

※障害年金などの非課税収入は年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれない
※扶養親族の数に応じて増額あり(同一生計配偶者のうち70歳以上あるいは老人扶養親族は48万円、特定扶養親族あるいは16歳以上19歳未満の扶養親族は63万円)

月額給付額は、以下のとおり障害等級が2級か1級かで異なります。

・障害等級が2級: 5140円(月額)
・障害等級が1級: 6425円(月額)

 

遺族年金生活者支援給付金

遺族年金生活者支援給付金の給付を受けられるのは、以下の支給要件をすべて満たす人です。

・遺族基礎年金の受給者
・前年の所得額が、472万1000円+扶養親族の数×38万円以下

※遺族年金などの非課税収入は年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれない
※扶養親族の数に応じて増額あり(同一生計配偶者のうち70歳以上あるいは老人扶養親族は48万円、特定扶養親族あるいは16歳以上19歳未満の扶養親族は63万円)

月額給付額は5140円です。2人以上の子が遺族基礎年金を受け取っている場合には、5140円を子の数で割った額がそれぞれに支払われます。
 

年金生活者支援給付金の給付を受ける際の注意点とは?

年金生活者支援給付金の支給要件を満たしていても、以下に該当する場合は給付対象にならないので注意が必要です。

1.日本国内に住所がないとき
2.年金が全額支給停止されている
3.刑事施設などに拘禁されているとき

1と3に該当する場合は、届け出が必要なので「給付金専用ダイヤル」(0570-05-4092)または年金事務所まで問い合わせてください。
 
また、年金生活者支援給付金の給付額は、毎年度、物価の変動によって年金額を改定する「物価スライド制」を採用しています。改訂された給付額は、自宅宛てに郵送される「年金生活者支援給付金支給金額改定通知書」にて確認しましょう。
 

年金生活者支援給付金の支給要件を満たせば年金に給付金が上乗せされる

年金生活者支援給付金は、2019年10月1日の消費税引き上げと同時に開始した制度です。老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金の受給者、これから受給する人は、年金生活者支援給付金の支給要件を満たしているか確認してみましょう。
 
また、日本年金機構から年金生活者支援給付金に関する案内が届いた場合は、内容を確認したうえで請求手続きを進めてみてください。
 

出典

年金生活者支援給付金制度について  厚生労働省
遺族年金生活者支援給付金の概要 日本年金機構
老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要 日本年金機構
障害年金生活者支援給付金の概要 日本年金機構
年金生活者支援給付金 日本年金機構
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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