更新日: 2023.09.20 その他年金
親が「年金は月15万円くらい」と話しています。通院も多いのにこんな月額で足りるのでしょうか?
老後に必要な年金額はケースにより異なります。実際の生活をふまえて検討することが重要です。
ここでは、年金から引かれるお金や老後にかかる支出額の目安などを紹介しています。老後の生活が心配な人は参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年金から引かれるお金
毎月の年金額が15万円であったとしても、これをそのまま受け取れるわけではありません。一定金額を超える公的年金などには、所得税及び復興特別所得税が課されます。
公的年金などの収入金額の合計が180万円(15万円×12ヶ月)であれば、ここでいう一定額は158万円です(65歳以上の場合。年金等控除額110万円+基礎控除宅48万円)。この金額を超える部分に対して、所得税及び、復興特別所得税が課されます。このケースにおける税率は5.105%、税額は1万1231円です。ちなみに、所得税及び復興特別所得税は、源泉徴収されます。
国民健康保険料・介護保険料も納めなければなりません。これらの保険料は、お住まいの地域などで異なります。参考に、新宿区における令和5年度の国民健康保険料概算を紹介します。65歳以上で年金収入175万円の方の保険料は、1ヶ月あたり6767円です。年間に換算すると8万1204円になります。
また、令和3年度における介護保険料基準額の全国平均は6014円です。年間に換算すると7万2168円になります。国民健康保険料と介護保険料の合計は年間で15万3372円です。ちなみに、受給額が年間18万円以上の方は、これらの保険料が年金から天引き(特別徴収)されます。
さらに、住民税も特別徴収の対象です。一定の基準を満たすと、年金から住民税が特別徴収されます。
ここまでをまとめると、年金が月15万円の方は、毎月936円の所得税(1万1231円÷12ヶ月)と、6767円の国民健康保険料、6014円の介護保険料がかかります。これらを減じた金額は13万6283円となります。
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年金15万円で生活していけるか
総務省統計局が発表している「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の消費支出は14万3139円でした(夫婦高齢無職世帯は23万6696円)。この金額は、月額6660円の直接税と、月額5625円の社会保険料を含みます。
実際の支出額はライフスタイルや税額・保険料などで異なりますが、単身無職世帯であれば年金15万円で、なんとか貯蓄を切りくずさずに生活できるレベルといえるでしょう。
ただし、本調査における住居費は月額1万2746円(夫婦高齢無職世帯は1万5578円)です。賃貸住宅に住んでいる場合、これより多くの住居費がかかると考えられます(本調査における2人以上世帯のうち65歳以上の無職世帯における持ち家率は92.5%)。
また、本調査における保険医療費は8128円(夫婦高齢無職世帯は1万5681円)です。この金額も、通院回数などにより変動するおそれがあります。住居費や保険医療費が大きくなる場合、月15万円の年金では不足する可能性が高くなります。この点には注意が必要といえるでしょう。
実際の支出額はライフスタイルなどで大きく異なる
年金には所得税が課されます。また、健康保険料や介護保険料もおさめる必要があります。年金額をそのまま受け取れるわけではありません。
家計調査報告によると、高齢単身無職世帯の支出額は14万3139円です。年金が月15万円であれば、貯蓄を切りくずさずに生活できる可能性があります。
ただし、個別の支出額は居住形態や通院回数、ライフスタイルなどで大きく異なります。賃貸に住んでいたり、医療費が多くかかるようであれば不足する可能性も高くなります。実際の生活をふまえて評価することが大切です。
出典
国税庁 高齢者と税(年金と税)
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
日本年金機構 年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を特別徴収されるのはどのような人ですか。
新宿区 令和5年度 国民健康保険料 概算早見表(給与/年金のみの場合)
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編2022年(令和4年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー