更新日: 2023.09.20 国民年金

「繰下げ受給」で年金受給額を増やす予定が…… 年金の手続きを忘れていた場合、年金はどうなるの?

「繰下げ受給」で年金受給額を増やす予定が…… 年金の手続きを忘れていた場合、年金はどうなるの?
老齢年金を受け取るためには、手続きが必要です。具体的には、受給開始年齢に到達する3ヶ月前に、年金請求書が日本年金機構から送付されてきます。そして、年金請求書に必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、添付書類とともに年金事務所に提出すれば年金を受給できます。
 
一方、繰下げ受給の場合にも手続きは必要ですが、通常の年金手続きとは異なります。本記事では、繰下げ受給の概要を確認し、万が一手続きを忘れた場合や請求する年齢ごとに異なる請求方法について解説します。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

「繰下げ受給」の概要を確認する

(1)繰下げ受給の概要

老齢基礎年金および老齢厚生年金は、原則として65歳から受け取ることができますが、希望すれば66歳から75歳(1952年4月1日以前に生まれた人については70歳)になるまでの期間に、受給額を増額して、繰下げて受け取ることができます。また、繰下げ受給は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に繰下げることもできます。
 
ただし、障害給付や遺族給付などすでに他の公的年金の受給権がある人は、老齢年金を繰下げて受け取ることはできません。
 

(2)繰下げ受給の増額率

老齢基礎年金や老齢厚生年金を繰下げて受給する場合は、繰下げ受給の申し出をした時点(月単位)に応じて年金額が増額(下記計算式)され、その増額率は生涯変わりません。75歳まで繰上げた場合には、最大84%増額した年金を受け取ることができます。
 
ただし、1952年4月1日以前生まれの方は、繰下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)までとなりますので、増額率は最大で42%です。
 
・繰下げ増額率=0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数
 

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「繰下げ受給」の手続きを忘れたらどうなる?

まず、繰下げを希望していたが、65歳時点では年金の請求を忘れていて、請求を行わなかった場合でも、65歳到達時点の本来の年金をさかのぼって請求することが可能です。
 
次に、65歳時点で老齢年金の受給権が発生した人が、65歳時点で請求を行わず、66歳以降に繰下げ受給の請求をした場合に、請求時期に応じてどのような年金を受け取ることができるのかを確認してみます。
 

66~74歳で請求する場合

請求を行った翌月から、請求した日時点で計算した繰下げ受給額を受給できます。具体的には、前項で見たとおり、繰下げ月数に0.7%を乗じた分が65歳時点で受給する年金よりも多く受給できます。
 

75~79歳で請求する場合

繰下げ受給の請求をした翌月から請求を行った月までの繰上げ受給額(75歳時点で計算した額)を一括でもらうことができます。合わせて、請求を行った翌月から増額された年金が受給可能です。
 

80歳以降で請求をする場合

75歳時点で受給した場合として計算した過去5年分の繰下げ受給額を一括でもらうことができます。合わせて、請求を行った翌月から75歳時点で計算した繰下げ受給額を受給できます。
 

まとめ

年金の手続きを忘れたとしても、申請した翌月から受給を開始できます。逆に言うと、年金は申請しないと受給できません。ただし、請求する年齢によって繰下げ受給額などが異なりますので、しっかり確認することをおすすめします。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給

厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方] 第11 老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給

 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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