更新日: 2023.10.05 その他年金

60歳以降も働くと「年金が減る」って本当? 定年後も働く際の注意点を解説

60歳以降も働くと「年金が減る」って本当? 定年後も働く際の注意点を解説
高年齢者雇用安定法が改正され、事業主は70歳までの雇用を確保する努力義務が課されました。これにより60歳はもちろん、65歳を超えても安定して働くことができる環境が整いつつあります。
 
一方で「定年後も働くと年金が少なくなるのではないか」と心配する声も聞かれます。確かに、高齢になっても働くことで厚生年金保険の被保険者でありながら、年金の受給権者にもなるケースは増えてきます。
 
定年後も働くと年金が減るというのは、正しい部分もあります。本記事では、実際に高齢になっても働く場合の厚生年金受給に関する注意点を解説します。
御手洗康之

執筆者:御手洗康之(みたらい やすゆき)

CFP、行政書士

年金+報酬月額が50万円で支給停止は1万円

60歳以降も働いていて厚生年金に加入しながら老齢厚生年金も受け取る場合、年金額と報酬に応じて年金額が減額され、場合によっては全額支給停止となります。これを「在職老齢年金制度」といいます。
 
70歳以降は原則として厚生年金の加入は終了しますが、在職老齢年金の仕組みは適用され、一部または全額支給停止になることもあります。
 
これが60歳以降も働くと年金額が減るといわれる理由ですが、すべての人にあてはまるわけではありません。
 
2023年時点の基準額では年金受給額の月額(基本月額)と毎月の報酬(総報酬月額相当額)の合計が48万円以下の場合、年金は全額支給されます。48万円を超える場合は、基本月額と総報酬月額相当額の合計から48万円を引いた半分の金額が年金受給額から減額されることになります。
 
具体例として、以下の65歳正社員のモデルを例に年金がいくら減額されるか計算してみましょう。
 

65歳正社員
基本月額:15万円
標準報酬月額:30万円
賞与:60万円(過去1年間の賞与総額)
 
総報酬月額相当額:30万円+5万円(60万円÷12)=35万円
 
15万円+35万円=50万円>48万円

※48万円を超えるため、一部支給停止される
 
支給停止額:(50万円-48万円)÷2=1万円
調整後の年金支給額:15万円-1万円=14万円

 
つまり、基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円の場合、年金は1万円減額されることになります。
 

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65歳以上で支給停止対象となっているのは2割程度

厚生労働省によると、図表1のとおり65歳以上で在職老齢年金制度により支給停止となった人の割合は2割弱のようです。したがって、現段階では高齢になって働いていても多くの人には影響しない(全額支給される)ということがいえます。
 
図表1
 
図表1
 
厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方]第10 在職老齢年金・在職定時改定 3.在職老齢年金制度の状況
 
また、仮に支給停止されたとしても、老齢厚生年金の額自体は長期間働くほど増えていきます。働いたほうが損をするのではと感じる人が出るかもしれませんが、働けるうちはできる限り長く働くほうが将来的なリスクは小さくなります。
 

まとめ

本記事では在職老齢年金制度について簡単に説明しましたが、基準金額の変更や法改正は随時行われるものです。最新情報を詳しく知りたい人は、お近くの年金事務所や街角の年金相談センター、または社会保険労務士などに相談することをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~

日本年金機構 在職中の年金(在職老齢年金制度)

 
執筆者:御手洗康之
AFP、FP2級、簿記2級

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