更新日: 2023.10.09 厚生年金
中卒で16歳から年金に加入していると、将来は「平均」より多く年金をもらえる?「50年間」厚生年金に加入した場合の年金額を試算
加入期間が長い分、より多くの年金を将来受給できるのではないかと期待する人もいるでしょう。本記事では、16歳から65歳まで厚生年金に加入した場合に将来いくら年金を受給できるか試算します。
執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種
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日本では16歳になる年度の4月から労働できる
日本の労働基準法(第6章 年少者)では「使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない」と定めています。つまり、原則として義務教育を修了するまでは労働ができず、労働が可能となるのは16歳になる年度の4月1日からです。
そして、日本の公的年金制度では未成年であっても、一定条件を満たした場合は厚生年金に加入することになります。そのため、早い人であれば労働可能な16歳になる年度から厚生年金に加入することになるのです。仮に16歳から65歳まで厚生年金に加入した場合、加入期間は50年にのぼります。
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16~65歳まで厚生年金に加入した場合の年金受給額は?
実際に50年間、厚生年金に加入した場合、将来いくら年金を受給できるか試算してみます。今回のケースでは、50年間、厚生年金に加入するため「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の両方を受給可能です。
また、「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」とで受給額の計算方法が異なります。それぞれの計算方法は次のとおりです。 まず、老齢基礎年金の場合は保険料を支払った月数に応じて受給額が決まり、加入期間40年(480月)で満額79万5000円(2023年4月分からの年金額)を受け取れます。
一方の老齢厚生年金の場合は、次の計算方法を用いて行います。
・2003年3月以前:平均標準報酬月額×(7.125/1000)×加入月数
・2003年4月以後:平均標準報酬額×(5.481/1000)×加入月数
今回は2003年4月以降の計算式で実施します。それでは実際に、16歳から65歳まで年金に加入した人の年金額を、平均標準報酬額30万円、50万円の2つのパターンで見ていきましょう。
平均標準報酬額30万円の場合
平均標準報酬額30万円の場合の受給額は次のとおりです。
【老齢基礎年金】
老齢基礎年金は40年以上加入しているため、満額79万5000円を受給できます。
【老齢厚生年金】
平均標準報酬額を老齢厚生年金の計算式にあてはめます。
30万円×(5.481/1000)×600ヶ月=98万6580円
老齢厚生年金は98万6580円となります。合計すると、老齢基礎年金が79万5000円、老齢厚生年金は98万6580円となり、合計178万1580円を65歳以降に受給できます。月に換算すると約14万8000円です。
平均標準報酬額50万円の場合
平均標準報酬額50万円の場合の受給額は次のとおりです。
【老齢基礎年金】
老齢基礎年金は40年以上加入しているため、満額79万5000円を受給できます。
【老齢厚生年金】
平均標準報酬額を老齢厚生年金の計算式にあてはめます。
50万円×(5.481/1000)×600ヶ月=164万4300円
老齢厚生年金は164万4300円となります。合計すると、老齢基礎年金が79万5000円、老齢厚生年金は164万4300円となり、合計243万9300円を65歳以降に受給できます。月に換算すると約20万3000円です。
長期の厚生年金加入でも、老後の資金計画は必要
日本では16歳になる年度の4月から労働することができ、未成年でも条件を満たせば厚生年金への加入が必要となります。
仮に16歳から50年間、厚生年金に加入した場合、将来受給できる年金額は次のような結果となります。
・平均標準報酬額30万円の場合:178万1580円(月に約14万8000円)
・平均標準報酬額50万円の場合:243万9300円(月に約20万3000円)
総務省統計局が公表したデータによると、65歳単身世帯の実収入は約13万5000円です。平均標準報酬額30万円・50万円であれば、将来受け取れる年金額はいずれも13万5000円を上回ると予想されます。
この結果から、長期間厚生年金に加入していると、65歳単身世帯の実収入よりも高い年金が受給できる可能性が高くなるといえるでしょう。
しかし、これだけを頼りに老後の生活を設計するのは少し心配と感じる人もいるかもしれません。そのような場合は、現役時代から年金の上乗せとして、iDeCoや個人年金保険などを活用して、豊かな老後生活のために備えていきたいですね。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編) 2022年(令和4年)平均結果の概要
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種