更新日: 2023.10.19 その他年金

老後に夫婦で年金を「27万円」もらうには、現役時代いくら稼げばいい?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

老後に夫婦で年金を「27万円」もらうには、現役時代いくら稼げばいい?
老後に働く人も多くいますが、できればゆっくり年金生活を送りたいと考える人も多いのではないでしょうか。総務省によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯において必要な金額は、平均で月額約27万円(社会保険料などの非消費支出含む)です。
 
本記事では、会社員の夫と専業主婦の妻の家庭を例に、夫が現役時代にいくら稼いでおけば、老後に年金を月額で27万円もらえるのか解説しています。
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老後に夫婦が支出する平均的な金額は27万円

総務省の「家計調査報告[家計収支編]2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均的な支出は、月額で26万8508円です。そのうち社会保険料などの非消費支出が3万1812円、消費支出は23万6696円です。
 
消費支出の中では食費が28.6%で最も多く、交通・通信費、光熱・水道費と続きます。
 

公的年金制度の種類ともらえる金額について

日本の公的年金制度は国民年金と厚生年金の2種類です。国民年金は自営業者や学生、厚生年金加入者に扶養されている専業主婦(夫)などが加入します。また、厚生年金は会社員・公務員の中で条件を満たした人が加入します。
 
「国民年金加入者」は、基本的には65歳以降に加入期間に応じた年金額を受け取ることが可能です。具体的には、現在は満額で月額6万6250円です。
 
「厚生年金加入者」も、基本的には65歳以降に年金を受け取れますが、金額は加入期間と収入によって異なります。今回は受け取れる年金の大部分を占める報酬比例部分について見ていきます。報酬比例部分として受け取れる年金は、年額で次のとおりです。
 
平均標準報酬額×(5.481÷1000)×加入月数
 

妻が専業主婦の場合、夫はいくら稼いでおけば「27万円」もらえるか

夫が会社員で妻が専業主婦の家庭の場合、65歳以降に夫婦でもらえる年金は、夫の老齢基礎年金と老齢厚生年金、妻の老齢基礎年金です。なお、今回は夫が20歳から60歳まで会社員として働き、妻は厚生年金に加入したことは1度もなく、国民年金に加入すべき全ての期間に加入していたとします。
 
65歳以降に月額でもらえる老齢基礎年金の金額は夫と妻それぞれで6万6250円、夫婦合計で13万2500円です。夫婦で27万円もらうには、27万円から老齢基礎年金の分を引いた、13万7500円を夫の老齢厚生年金としてもらう必要があります。
 
老齢厚生年金の報酬比例部分において、平均標準報酬額がこの金額を満たすためには、現役時代の平均月収が63万5000円必要です。つまり、年収にすると762万円です。国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者で700万円を超える収入の人は全体の12%程度に過ぎません。
 
夫が会社員で妻が専業主婦の家庭において、年金だけで毎月27万円を拠出するのは簡単ではないと言えそうです。
 

支出と収入を計算し、対策を考えておこう

本記事では、条件を単純化してシミュレーションしましたが、実際は家庭によって収入も支出も異なります。収入については年金のみならず、貯蓄や老後も働き続けるといったことでも補填(ほてん)が可能です。また、現役時代の収入が同じでも、年金は受け取り始める時期を繰り下げることで、毎月の受給金額を増やせます。
 
実際の収入や支出、貯蓄や老後の働き方などを考慮したうえで、老後の生活費をどうするのか考えましょう。
 

出典

総務省 家計調査報告[家計収支編] 2022年(令和4年)平均結果の概要
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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