更新日: 2023.10.27 その他年金
年金の繰下げ受給を申請した夫が、受給前に急逝してしまいました。この場合、遺族年金はいくら受け取れるのでしょうか?
今回は、繰下げ受給を選択した人が受給前に死亡した場合、受給権者が受け取るはずだった年金や遺族が受け取れる遺族年金はどうなるのか、詳しく解説します。
※本記事に記載されている金額は、全て本年金機構のWEBサイトを出典としております。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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繰下げ受給の待機中に受給権者が死亡した場合
繰下げ受給の待機中に年金の受給権者が死亡した場合、待機期間中の年金額を妻などの遺族が受け取れます。75歳まで繰下げ受給を選択していた人が67歳で死亡した場合、遺族は2年分の年金額を受け取れるというわけです。
この制度を未支給年金と呼びます。支払われるのは受け取っていない分の年金と、死亡後にまだ振り込まれていない年金です。受給権者が2月1日に死亡した場合には2月分の未支給年金も遺族が受給できます。
ただし、未支給年金には繰り下げ率は適用されないので注意が必要です。生前に繰下げ受給を選択していても、実際に支給されるのは65歳時点で受け取れるはずだった年金額です。
例えば、令和5年度で老齢基礎年金の満額である月6万6250円を受け取れる人が10年間の繰下げ受給を選択し、67歳で亡くなったとしましょう。その場合、遺族が受け取る未支給年金の額は6万6250円の24ヶ月分なので159万円です。
また、未支給年金には受け取るための条件や優先順位があります。その条件は、死亡した受給権者と同一生計にあることです。生計を同じくしていない場合には、遺族であっても未支給年金を受け取れません。優先順位は配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、それ以外の3親等内親族の順番です。
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遺族年金も受け取れる?
繰り下げ期間の待機中であっても、受給権者が受給資格を満たしていれば、その資格がなくなるわけではありません。受給資格は保険料納付済期間と保険料免除期間や合算対象期間を合算した期間が25年以上あることです。
受給権者がこの資格を有していて遺族が条件を満たしていれば、未支給年金に加えて遺族年金を受け取れます。遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
遺族基礎年金が支給される条件は、遺族が受給権者と生計を同一にしていたこと、受給権者との間に18歳未満の子どもがいる配偶者か、あるいは18歳未満の子であることです。
子どもがいる配偶者の場合、配偶者が67歳未満であれば79万5000円に加えて子の加算額、68歳以上であれば79万2600円に加えて子の加算額を受け取れます。子が受け取る場合、79万5000円と2人目以降の子の加算額が支給されます。子の加算額は、2人目までは22万8700円、3人目以降は7万6200円です。
例えば、18歳未満の子が1人いる67歳未満の妻なら、「79万5000円+22万8700円」で102万3700円の遺族年金が、子が18歳になるまで支給されます。
繰下げ受給の待機中でも遺族年金は受け取れる
繰下げ受給の待機中に受給権者が死亡した場合、遺族が本来受け取れるはずだった年金額を受給できます。例えば、夫が待機中に死亡した場合には、妻がその分の年金を受け取れます。ただし、受け取れるのは65歳から死亡するまでの期間の、本来の年金額です。
また、死亡した受給権者と遺族が資格を満たしている場合には、遺族年金も受け取れます。万が一の事態になっても焦らないよう、本記事の内容を頭の片隅においておきましょう。
出典
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー