更新日: 2023.10.26 国民年金

父から「年金なんて払わないほうが良い」と言われています。実際あまりもらえないようですし、払うだけ損なのでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

父から「年金なんて払わないほうが良い」と言われています。実際あまりもらえないようですし、払うだけ損なのでしょうか?
年金に関してマイナスの印象につながる話を聞くと、保険料を前向きに払えなくなるかもしれません。たとえば、父親が納付に否定的だと、そのアドバイスに従ったほうが良いのかと迷う場合もあるでしょう。このような状況で大切なのは、実情をしっかり把握して自身で判断することです。
 
そこで本記事では、納める保険料と将来の受給額を比べたうえで、年金の魅力的なメリットなども紹介します。
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納付額と受給額の比較

国民年金の保険料は物価変動などを踏まえて毎年調整されます。そのため、これから支払っていく人が正確な金額を見積もるのは不可能です。よって、令和5年度の保険料の月額1万6520円を納付し続けていくと仮定します。この場合、20~60歳の40年間に納める総額は、1万6520円の480ヶ月分である792万9600円です。
 
また、基礎年金の受給額も毎年変わるため、上記と同様に令和5年度の月額で計算します。満額を受け取ると仮定した場合、1年間の受給額は6万6250円を12倍した79万5000円です。
 
なお、厚生労働省の簡易生命表を見ると平均余命が分かります。令和5年に公表された令和4年版の統計データによると、男性の平均余命は約81歳、女性は約87歳です。平均余命まで生きれば、男性は65~81歳の16年にわたって毎年79万5000円を受け取り、トータルの受給額は1272万円になります。
 
一方、女性は65~87歳の22年分を受給するため、総額は男性より6年分多い1749万円です。いずれにせよ、保険料の納付額を上回るので、これらの仮定のもとでは損ではありません。
 

年金の魅力的なメリット

年金には以下に挙げる2つの魅力的なメリットがあります。
 

・一生受け取れる

65歳から受給する年金は老齢年金と呼ばれるものです。生きている限り、これを受け取る権利が失効することはありません。日本の年金制度は賦課方式で世代間相互扶養がベースです。経済社会が機能している限り、財源が確保される仕組みとなっています。よって、制度が破綻するような事態も、基本的には起こらないと考えて良いでしょう。
 

・保険の代わりになる

保険料を納め、要件を満たしていれば、死亡したときに遺族年金が支給されます。これを受け取るのは、本人が生計を維持していた家族です。
 
また、けがや病気で労働などが困難になった場合は障害年金を受給できる場合もあります。現役世代でも受給できる点は大きなメリットといえるでしょう。このように、遺族年金と障害年金はセーフティネットであり、一般的な保険の代わりとして役に立ちます。
 

納付が難しい場合の対処法

平均余命まで生きる前提なら金額的に損をしませんし、上記のようなメリットもあるので保険料は払うべきです。そもそも年金保険料の納付は国民の義務でもあります。
 
しかし、経済的な事情により支払いが困難というケースもあるでしょう。年金保険料納付の猶予や免除といった制度は、そのような場合の対処法として有効です。猶予を申請して認められると、支払いの期限が延長されて、10年以内なら追納できるようになります。
 
一方、免除の制度による保険料減額の幅は全額や半額などの4種類です。申請が通って支払わなかった分も、将来の受給額の計算に組み込まれます。ただし、満額の納付をした場合より受給額が少なくなるため、受給額を満額に近づけたいなら、余裕ができた時点で追納が必要です。
 

実情を踏まえてポジティブに保険料を納付

年金には魅力的なメリットがあるため、その権利の放棄こそが損といっても過言ではありません。適切に納付していれば、損を回避できるどころか、金額的に得をする可能性も十分にあります。
 
例えば、平均余命まで存命の人は、納付額より受給額の方がずいぶん大きくなりやすいです。猶予や免除の制度も視野に入れつつ、このような実情を理解して、保険料の支払いをポジティブに捉えましょう。
 

出典

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について

厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況

日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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