更新日: 2023.10.31 その他年金

大学卒業後すぐに結婚して以来、専業主婦です。年金はいくらもらえますか?

執筆者 : 堀江佳久

大学卒業後すぐに結婚して以来、専業主婦です。年金はいくらもらえますか?
昭和時代には専業主婦は比較的当たり前でしたが、最近の職場をみると共働きが当たり前になってきています。
 
2022年の(独)労働政策研究・研修機構の「早わかり グラフでみる長期労働統計」をみると、昭和63年(1988)には、専業主婦世帯が946万世帯で、共働き世帯が771万世帯であったものが、令和4年(2022)にはその割合が逆転し、専業主婦世帯が539万世帯で、共働き世帯が1262万世帯という結果になっています。
 
本記事では、専業主婦世帯の妻が、年金をいくらもらえるかを解説します。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

日本の公的年金制度と専業主婦

日本の公的年金制度は、「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2階建てになっています。1階部分の国民年金は、20歳以上60歳未満の国民が加入を義務づけられており、定額の保険料を納める必要があります。
 
また、2階建ての部分である厚生年金は、会社員や公務員などが加入する年金制度で、原則賃金に比例した保険料を支払う必要があります。
 
専業主婦の場合は、1階部分の国民年金に加入することになります。ただし、夫が厚生年金に加入していて、その被扶養者であるため第3号被保険者となり、国民年金保険料を納める必要がありません。
 
なお、妻がパートやアルバイトをして、原則年収130万円以上を稼ぐなどで第2号被保険者になると、妻自身に国民年金保険料の支払い義務が発生します。
 
また、国民年金を受給するためには、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上あることが必要です。要件を満たしていれば、原則として65歳になったときから年金を受給できます。
 

ずっと専業主婦だった人は国民年金をいくらもらえるのか?

専業主婦として、夫の扶養に入って国民年金に加入していた場合に受給できる満額は、令和5年度は年額で79万5000円、月額で6万6250円です(67歳以下の場合)。
 
この金額は、40年間専業主婦として夫の扶養に入っていることが条件となりますので、大学生の頃に保険料を支払っていない場合など未納期間がある場合には、その分減額されます。
 
具体的な国民年金の受給額は、次の式で計算できます。
 
国民年金受給額(年額)=79万5000円(満額)×(保険料納付月数÷480月)
 
仮に、大学を卒業して22歳から60歳未満まで第3号被保険者となり、大学時代には国民年金を納めていなかった場合には、保険料納付月数が38年×12ヶ月=456月となるため国民年金受給額は以下のとおりです。
 
国民年金受給額(年額)=79万5000円(満額)×(456月÷480月)
           =75万5250円
 
なお、上記のように60歳までに保険料の払込期間が40年(480ヶ月)に満たない場合には、任意加入制度があり、60歳以上でも保険料を納めて、65歳になってから満額受給できます。
 

まとめ

専業主婦は第3号被保険者となるため、その人自身が国民年金保険料を納める必要がありません。受給できる金額は、今年度は満額79万5000円ですが、大学生の頃など保険料を払っていない期間があれば、その分減額されます。
 
なお、満額受給ができなかったとしても任意加入制度を活用すれば、65歳以降満額受給をすることが可能ですので、保険料の未払いの期間があった人は、検討してもよいでしょう。
 

出典

独立行政法人労働政策研究・研修機構 ホームページ(統計情報Q&A:専業主婦世帯、共働き世帯)
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
日本年金機構 Q 国民年金の「第1号被保険者」、「第3号被保険者」とは何ですか。
日本年金機構 任意加入制度
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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