更新日: 2023.11.12 その他年金
「単身世帯」は全世帯の何%を占める?50代以降「おひとりさま」であっても年金収入だけで生活できる?
また、50代以降 「おひとりさま」 であっても、老後は年金収入のみで生活することは現実的なのでしょうか。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
全世帯におけるおひとりさまの世帯割り合い
最近よく耳にするように、単身世帯の割り合いは増加傾向にあります。国立社会保障・人口問題研究所の集計した「日本の世帯数の将来推計 (全国推計、2018年)」の概要によれば、1980年時点での単身世帯(本文中では「単独世帯」)の数は710万5000世帯となっています。それに対して2020年には1934万2000件と、40年で2倍以上になっています。
それにともない、全世帯に占める単身世帯の割り合いも大きく増加しており、1980年時点では19.8%だったものが、2020年には35.7%にまで増加しています。実に16%近い増加率になります。
また、それに連動するかのように 「夫婦と子」 という世帯も減少しています。1980年時点では、この世帯は1508万1000世帯と、全体の42.1%を占めていたものの、2020年には1413万4000世帯、割り合いにして26.1%と、大きく減少しています。
世間で 「単身世帯が増えている」 といわれているとおり、統計からも単身世帯が増加していることが分かります。理由はさまざま考えられますが、ライフスタイルや価値観の多様化などによる、生涯結婚しない人の割り合いの増加や離婚する夫婦の増加などが考えられます。
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おひとりさまは年金収入だけで生活できるのか
ここまで統計をみてきたように、現代の日本において単身世帯は珍しくありません。50代以降、おひとりさまとして生きていくことは、充分に可能です。しかし、それと 「老後に年金だけで生活していくことが可能であるか」 は別問題です。実際の収支は人によって異なると思いますので、統計上のデータから考えてみたいと思います。
総務省統計局の 「家計調査年報(家計収支編、2022年)」 によれば、65歳以上の単身無職世帯における月々の支出は15万5495円となっています。それに対して実収入は、13万4915円となっており、この時点で、すでに赤字となっています。加えて、実収入のうち社会保障給付は、実収入全体の90.1%に相当する12万1496円です。つまり、年金だけでは統計上からみえてくる一般的な生活すらも難しく、3万3999円も不足するわけです。
仮に、おひとりさまとして65歳から年金を受けとり、90歳まで生活するとして、不足する生活費は25年間で1019万9700円と、相当な額になります。
もちろん統計上の数値なので、人によっては 「月々20万円の年金収入を得ることができ、年金だけで生活可能」 ということもあります。この点については、やはり個別の事情を考慮して「自分はどうだろうか」と試算してみることが大切です。
年金だけで生活できない場合の対応
老後、年金だけでは生活できないという場合、基本的には就労していくことになるでしょう。仮に毎月4万円の収入が不足するとしても、週に何日かパートやアルバイトをすることでまかなうことができます。例えば、時給900円で働いたとしても、およそ45時間で4万円程度を稼ぐことができます。週に換算すると12時間ほど、日に換算すると、1日4時間勤務なら週3日働くだけです。
また、年金の繰下げ受給も有効です。仮に年金を65歳から受けとらず、70歳まで支給開始時期を繰り下げるだけで、先述した平均的な社会保障給付額の12万1496円なら、17万2524円になります。統計上の一般的な支出なら、年金だけで生活していくことができそうです。
ほかにも、65歳以降も厚生年金に加入しながら働き、将来、給付される年金額を増やしつつ、貯金をして老後に備える方法も有効でしょう。
まとめ
国立社会保障・人口問題研究所の統計によれば、2020年、単身世帯の数は世帯全体のおよそ3割と、決して珍しくはないといえるほど増加しています。また50代以降、おひとりさまであったとしても、計画的に老後の計画を立てていけば、年金だけで生活していくことも不可能ではなさそうです。
老後、おひとりさまとして生きることを決めているのであれば、どのように生活していくのがよいのか考えてみてください。
出典
総務省統計局 「家計調査年報(家計収支編)令和4年(2022年)」
国立社会保障・人口問題研究所 「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」
執筆者:柘植輝
行政書士