更新日: 2023.11.21 その他年金

年金の「元を取る」ためには何歳まで生きれば良い?「年収500万円」の会社員のケースで試算してみた!

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

年金の「元を取る」ためには何歳まで生きれば良い?「年収500万円」の会社員のケースで試算してみた!
日本国民は20歳になると、年金保険料を負担する必要があります。年金保険料を負担することは国民の義務だと認識しつつも、少なくない金額にため息をついてしまう人もいるのではないでしょうか。中には、「どうせ払っても自分が亡くなるまでに受け取る年金額は大したことがない」と思う人もいるかもしれません。
 
本記事では、年収500万円の会社員が何歳まで生きれば納付した保険料分のお金を年金として受け取れるのか解説しています。
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会社員が加入する年金は国民年金と厚生年金

4年制大学を卒業後に一般企業に就職し、60歳で退職した場合を例に見ていきましょう。
 
今回のケースでは、20~22歳までの2年間は国民年金のみに加入し、その後会社員になってからの38年間は国民年金と厚生年金の2つに加入しています。そして、基本的には65歳以降に老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取ることが可能です。
 

年収500万円の会社員が生涯で支払う保険料は1750万円

20~22歳までの大学生時代には、国民年金の保険料を負担しています。国民年金の保険料は一律で1ヶ月当たり1万6520円です(2023年度現在)。この金額で計算すると、22歳までの2年間では24ヶ月分ですので、ここまでの合計保険料は39万6480円です。
 
その後の60歳までの会社員時代では、国民年金分を含めた厚生年金保険料を負担しています。厚生年金保険料は年収によって異なりますが、年収が500万円の場合、1ヶ月当たりの保険料は3万7515円です。この金額をずっと払い続けたとして計算すると、60歳までは38年間で456ヶ月ありますので、この期間の合計保険料は1710万6840円です。
 
22歳までの保険料が39万6480円、その後60歳までの保険料が1710万6480円ですので、20~60歳までに支払う保険料の合計は1750万3320円です。
 

年収500万円の会社員が毎年受け取る年金は約182万円

納付額1750万円と金額にしてみるとかなり多いと感じる人も多いと思いますが、では年金でこの金額をトータルで受け取るのはいったい何歳になるのでしょうか。年金は基本的には65歳以降、生涯受給することが可能です。まずは65歳以降、毎年受け取れる老齢基礎年金と老齢厚生年金の金額を見ていきましょう。
 
老齢基礎年金の受給額は満額で79万5000円、満額もらえるかどうかは支払った保険料の月数によって変わります。今回の場合、保険料を支払うべき全ての期間で保険料を負担していますので、受け取れる年金は満額の年間79万5000円です。
 
老齢厚生年金は、報酬比例部分、経過的加算、加給年金の合算分が受給可能です。ただ、そのほとんどは報酬比例部分ですので、本記事では報酬比例部分のみで計算していきます。報酬比例部分で受け取れる年金は、年収と加入期間によって変わります。年収が500万円で38年間厚生年金に加入した場合、毎年受け取れる年金額は年間で約102万4728円です。
 
老齢基礎年金と老齢厚生年金の合算分が受け取れるので、金額としては年間で約181万9728円です。
 

年収500万円の場合、75歳まで生きれば支払った保険料分を年金として受け取れる

ここまでのシミュレーションで、年収500万円の場合、生涯で支払う保険料は1750万3320円、65歳以降受け取れる年金は毎年181万9728円と計算できました。生涯の保険料を毎年の年金額で割ると、約9.6となるため、10年間年金をもらえれば、支払った保険料の元が取れることがわかります。
 
つまり、65歳から受け取り始めるとすると75歳です。厚生労働省によると、最新の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳です。そのため、平均寿命まで生きることができれば、支払った保険料を超える年金を受け取れるでしょう。
 

まとめ

今回は条件を簡略化して計算しており、また受け取れる年金額や保険料については必要に応じて見直しが入ることが予想されます。そのため、必ずしも今回のシミュレーションどおり、「10年で元が取れる」とは限りません。
 
とはいえ、少なくとも現状の環境下においては、平均寿命まで生きられれば、支払った保険料以上の見返りは十分あるといえるでしょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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